(ブルームバーグ):22日の日本市場では株式相場が続落し、日経平均株価の下げ幅は500円を超えた。アジア時間帯に米国株先物が下落し、大統領選を控えた米市場の先行き不透明感が広がったほか、国内でも週末の衆議院選挙が政局に発展するリスクが警戒された。
債券相場も米長期金利上昇の流れを受けて下落し、円相場は一時対ドルで約3カ月ぶりの安値となる1ドル=151円台を付けた。
米大統領選は終盤に入っても、民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領が激しく争っている。バンク・オブ・アメリカ(BofA)は、米選挙の株式相場への影響は単純ではなく、条件反射は禁物だと投資家に警鐘を鳴らした。債券市場では、堅調な経済統計を背景に米利下げ期待は行き過ぎとの見方が広がっており、日本を含め世界的に債券売りの展開となっている。
株式
東京株式相場は続落。日経平均は一時700円以上下げ、TOPIXは1カ月ぶりの日中安値を付ける場面があった。アジア時間の米国株先物の下落が嫌気され、衆院選での与党の過半数割れリスクへの警戒感もくすぶった。防衛関連の三菱重工業など機械株の下げが目立ち、銀行など金融株、建設や不動産など幅広い業種が安い。東証33業種は31業種が下落、上昇は海運業とゴム製品の2業種にとどまった。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフ・マーケット・ストラテジストは特段の材料は出ていないものの、中間決算と衆院選を前に「相変わらず上値は重い」と述べた。
衆院選について東洋証券の大塚竜太ストラテジストは、もともと低い目標であったはずの自民・公明両党での過半数すら達成できないとの見方が強まっており、過半数割れなら選挙後の政策の遅れを懸念して日本株は一時的に売られる公算があるとみている。

債券
債券相場は下落。米長期金利が上昇したことに加え、為替の円安を材料に売りに押された。この日行われた10年グリーントランスフォーメーション(GX)国債入札は無難に消化された。
午後3時過ぎに40年債利回りは2.52%まで上昇し、5月以来の高水準となった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストは、超長期債の主要な買い手である生命保険会社の購買意欲が弱く、需給に不安があることに加え、「衆院選で与党が過半数割れとなり、連立政権下で財政が拡張されることへの懸念が強まっている」と指摘した。
10年GX国債入札は最高落札利回りがほぼ予想通りで、応札倍率も過去2回より高かった。大塚氏は無難な結果だったと分析し、「金利が足元で少し上昇したことと金利先高観が薄れていることが奏功したのかもしれない」と話した。
新発国債利回り(午後3時時点)

外国為替
東京外国為替市場の円相場は、一時1ドル=151円台と約3カ月ぶりの安値を付けた。米長期金利の大幅上昇を受け、円売り・ドル買いが優勢となった。
りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは「前日に続いて米長期金利の上昇によるドル買いや円の買い持ちポジションの解消の動きが主導」と指摘。151円台では国内輸出企業からの円買いが下支え要因になる半面、200日移動平均線(151円30銭付近)に接近し、テクニカル分析を重視する投資家はドル買いに動きやすいと語った。
ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリストは、足元の米金利上昇とドル高は「米大統領選でトランプ氏勝利の可能性が高まっていることに加え、複数の米地区連銀総裁から利下げに慎重な発言が出てきており、米経済指標が強い中で年内利下げ期待も後退している」ためだと言う。

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