動画配信サービスの米ネットフリックスは17日、7-9月(第3四半期)に会員数が500万人強の純増となったことを明らかにした。昨年起きたハリウッドのストライキで新しい番組計画が影響を受けたが、同四半期の決算は、財務面のあらゆる主要指標で予想を上回る結果となった。

株主宛て書簡によると、7-9月期売上高は15%増の98億3000万ドル(約1兆4800億円)。1株利益は5.40ドルに増加した。会員数のアナリスト予想は452万人の純増だった。

ネットフリックスの株価は時間外取引で一時5.4%高の724.89ドルを付けた。2022年5月の水準から4倍以上に達している。当時は成長鈍化で株価が低迷し、事業を巡る投資家の不安が高まっていた。その後、パスワード共有の厳格化や広告付きの割安プラン導入で、会員数は6000万人余り増えた。7-9月期末の会員数は2億8270万人だった。

パスワード管理強化による効果は一時的なもので、成長に向け早期に別の方法を見いだす必要があるとの見方がアナリストには多い。広告やビデオゲームへの投資は財務面でまだ大きなリターンが現れておらず、同社の株価は過大評価されていると懸念する声も米金融業界で聞かれる。

だがネットフリックスは予想を上回る成長を続けており、経営陣はパスワード共有厳格化が向こう数年にわたって恩恵をもたらすと指摘することで投資家を安心させようとしている。

同社はこの日、会員増と値上げにより来年の売上高は11-13%増の最大440億ドルに達するとの予測を示した。18日にスペインとイタリアで料金を引き上げる予定で、ブラジルでは年内に低価格プランの一つを段階的に廃止すると明らかにした。

7-9月期は新規会員を地域別で見ると、欧州・中東・アフリカ(EMEA)とアジア太平洋の2地域が大半を占めた。中南米では23年序盤以来初めて会員数が減った。同社によると、10-12月(第4四半期)の会員数の伸びは7-9月期実績を上回る見通しだ。

昨年ハリウッドであった二つのストが響き、今年の番組計画に遅れが出ているが、リミテッドシリーズのドラマ「理想のふたり」や「エミリー、パリへ行く」新シーズン、ドキュメンタリー「メネンデス兄弟」のほか、映画「レベル・リッジ」や「ザ・ユニオン」といったヒット作を飛ばした。

ネットフリックスの会員者数は7-9月期に500万人強の純増となった

同社によると、10-12月期も、過去最も視聴されたドラマシリーズ「イカゲーム」の続編などかなり充実した番組編成になる。

経営陣は、広告費と新たな番組制作への支出により、収益性の上昇基調が鈍化するとの見通しを示した。純利益はこの5年間に4倍に膨らんだが、来年の営業利益率は28%と、24年通期予想から1ポイントの上積みにとどまる見通し。

原題:Netflix Posts Another Strong Quarter Despite Strikes’ Impact (2)(抜粋)

(3段落目以降に株価や決算発表の詳細を追加して更新します)

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