(ブルームバーグ):16日の日本市場では株式が反落し、日経平均株価は一時800円を超える下げとなった。オランダの半導体製造装置大手、ASMLホールディングの決算が嫌気され、半導体関連株中心に売りが膨らんだ。
ASMLが15日に発表した7-9月期(第3四半期)の受注額がアナリスト予想の半分程度にとどまり、来年の業績見通しも引き下げたことが失望を呼んだ。フィラデルフィア半導体株指数は9月上旬以来の大幅な下げを記録。国内でもレーザーテックが一時14%安、東京エレクトロンも同10%安となるなど、半導体関連株が軒並み売られた。
円相場は1ドル=149円台前半で推移。香川県金融経済懇談会で講演・会見を行った日本銀行の安達誠司審議委員の発言に反応し、上下する場面があった。債券は上昇(金利は低下)。
株式
株式は反落。ASMLの決算を嫌気して半導体関連株に売りが膨らんだ。週初に1ドル=150円付近まで進んでいた為替相場の円安一服で、機械など輸出関連株も安い。
TOPIXの下げをけん引したのは東京エレクトロンで、9.2%の値下がり。レーザーテックやディスコも下落寄与度上位に並んだ。指数構成銘柄2127のうち1521銘柄が下落、500銘柄が上昇した。
いちよしアセットマネジメントの秋野充成社長は、半導体関連株に対して市場は懸念を持って見ていたため、実際に決算で悪い数字が出ると反応しやすいと指摘。足元の株価水準が高いため、衆院選での自民、公明両党の過半数割れを想定した海外勢による売りが出やすいと続けた。
一方、三井住友DSアセットマネジメントの武内荘平シニアファンドマネジャーは「ASMLは少し個別色が強い」とし、「この話だけで半導体株がだめだと言うのは、懸念が行き過ぎているのではないか」と述べた。

為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=149円台前半。日銀の安達審議委員が午後の会見で「円安加速による物価上昇圧力は今のところ削減されている」と述べたことを受け、やや売りが強まる場面があった。
一方、午前の取引では「金融政策が正常化プロセスに入る条件は既に満たしている」との同委員の発言に反応し、一時148円台後半まで円が買われた。東海東京インテリジェンス・ラボの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジストは、日銀執行部の発言ではないため円買いが加速する感じはないと話していた。
米金利市場では、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25ポイント利下げが9割程度織り込まれている。柴田氏は、17日発表の米国の小売売上高や来月初発表の雇用統計が前月同様に強ければ、据え置き予想が強まる可能性もあると指摘。「米大統領選の年はドル高という経験則がある上、トランプ前大統領が勝てばなおさらドル高が進む」と予想した。

債券
債券は上昇。米国で製造業景況指数の悪化や原油価格の急落で長期金利が低下したことを受け、買いが優勢となった。
ニッセイアセットマネジメント戦略運用部の三浦英一郎専門部長は、米金利上昇が止まり、投資家などからキャリーロールを獲得しようとする債券買いがにじみ出ている状況だと指摘した。
安達日銀委員の発言について、岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは「ハト派色が強いとは思わないが、物価や賃金の見通しが慎重なトーンだったので、先物中心にやや買い戻された格好だ」と指摘。その上で、「10月会合は利上げはないとのコンセンサスがある中で、会合前の講演、会見でこのくらいのトーンが妥当ではないか」と述べた。
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--取材協力:横山桃花.
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