美容整形の「湘南美容クリニック」などをフランチャイズ展開し、このほど米ナスダック市場に上場したSBCメディカルグループホールディングスは、医師らを対象に自社株購入権(ストックオプション)の付与を検討している。国内外で優秀な人材を確保し、企業価値の向上につなげる狙いだ。

相川佳之最高経営責任者(CEO)がブルームバーグの取材で明らかにした。SBCメディカルは9月18日の上場後、ストックオプションの導入を「重要テーマ」として制度設計に取り組んでおり、約500人の医師のうち一定の役職以上を対象に割り当てる案などを検討しているという。

日本では株式会社による病院経営が原則認められていないこともあり、米市場での上場を選択した。特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて上場を実施。国内外のクリニック買収を計画しており、ナスダック上場によってグローバル資本市場へのアクセスを確保するとともに、ストックオプションの付与で優秀な医師の獲得につなげることは、今後資金調達する際のエクイティストーリー(成長戦略)となる。

米ニューヨークのナスダックマーケットサイト

相川CEOは「医療は良いドクターが何人いるかで決まる」とし、ストックオプションとナスダック上場という信用が人材獲得の際の「インセンティブ」になると説明。技術を身に付けると独立する傾向がある医師に、自社株の保有により経営に参画する意識が芽生えることを期待すると述べた。

SBCメディカルの時価総額は、15日現在、約7億7600万ドル(約1160億円)。相川CEOは1兆円まで成長させたいとの意気込みを示した。米国のほかシンガポールなどのアジア諸国で買収を行い、現在約200のフランチャイズクリニック数を2035年には1000規模にまで拡大することを目標に掲げる。

同社は00年に日本でクリニックを創業。以降、経営を多角化し、美容外科、歯科、眼科、脱毛専門、薄毛治療、不妊治療、整形外科などへの経営支援を行う。23年12月期の売上高は前の期と比べて11%増の1億9400万ドル、純利益は同6倍超の3900万ドルだった。

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