米史上最も重要な選挙の一つと考えられる2024年大統領選の投票日まで、1カ月を切った。しかし「スマートマネー」と呼ばれる賢明な投資家は、何が起きるかへの賭けをためらい、ウォール街は不気味なほど静まり返っている。

投資会社サンダース・モリス・ハリス(本社テキサス州ヒューストン)のジョージ・ボール最高経営責任者(CEO)は、民主党候補のハリス副大統領と共和党候補のトランプ前大統領との選挙戦について、「コインの裏表に賭けるのはごめんだ。あまりの接戦で思慮深い投資ポジションを設定できない」と指摘する。

ゴールドマン・サックスの2008年にさかのぼるプライムブローカレッジデータによると、ヘッジファンドは過去の選挙前と異なり株式ポジションを減らしておらず、S&P500種株価指数が最高値更新を続ける中で、むしろエクスポージャーを増やしている。

一方、市場のベテランらによれば、オプショントレーダーは、米連邦準備制度の利下げや米経済の健全性の方に注目し、11月5日の大統領選は当面の優先リストの下位に置いている。

サスケハナ・インターナショナル・グループのデリバティブ(金融派生商品)戦略共同責任者クリス・マーフィー氏は「中東での戦争、爆発性のある中国の動向、米経済データのプッシュプル、連邦準備制度の緩和期待の変化、次の企業決算発表シーズンに続き、選挙の不安はリストの5番目前後に位置する」と説明した。

アポロン・ウェルス・マネジメントのエリック・スターナー最高投資責任者(CIO)は「まず第一に激戦州を中心に非常に際どい大統領選だ。2番目として両候補とも非常に野心的な経済目標を掲げているが、ホワイトハウスと上下両院を制しない限り、これらの選挙公約を完全に実行できるか極めて疑わしい」と見解を示した。

一部のプロ投資家は、長期的に市場に参入しようと考えている人々に対し、雑音に惑わされることなく、結果が明らかになり、情勢がはっきりするまで待ち、入手可能な全ての情報を基に適切にポジションを設定するよう助言している。

原題:Wall Street Pros Avoid Election Bets With Race Too Close to Call(抜粋)

--取材協力:David Marino.

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