(ブルームバーグ):著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いる米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイが10日、円建て債の発行条件を決めた。発行総額は2818億円で、2019年の初回債に次ぐ大きさとなった。
主幹事によると、バークシャーは3年から30年の7年限で起債した。同社は4月にも円建て債を発行しており、24年の発行額は計5451億円と通年では過去最高となった。

アセットマネジメントOneの加藤晴康ファンドマネジャーは、年間でここまで調達できていることはバークシャーに対する投資家の安心感を示すと話す。日本の投資家の間で利回りがある債券への需要が強いことを体感するディールになったとも述べた。
バークシャーの円建て債発行は株式市場の注目も集めている。バフェット氏は2月に公表した恒例の「株主への手紙」の中で、日本株の投資資金の大半は社債市場で調達していることを明らかにしているためだ。バークシャーが投資対象を商社から銀行、保険会社、海運会社などの他の株式に広げ、相場の上昇につながるとの期待も膨らむ。
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いちよしアセットマネジメントの秋野充成社長は日本株への影響について、「何を買うのか、バフェット氏の目にかなう銘柄があるか注目だ」と述べた。一方で「日本株のモメンタムは過ぎ、今すぐ買わないと置いていかれる状況ではない」とも指摘。日本株以外に投資する上でも円債での資金調達にはメリットがあると話した。

今回の円建て債は新発債の投資需要を試す指標になり得る。長期・超長期債のスプレッド(上乗せ金利)拡大は、日本の金利環境に対する投資家の警戒感を反映している。石破茂首相が先週、「追加利上げをする環境にあるとは思っていない」と発言し利上げ観測が後退。社債の発行利回りは国債利回りとスプレッドの合算で決まるため、大型案件の需要を喚起するにはスプレッド拡大が必要なことをバークシャー債が裏付けている。
発行スプレッドは、最も期間リスクが低い3年債を除くすべての年限で4月の前回債から拡大した。拡大幅は3-13ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)で、20年債と30年債の拡大幅が13bpで最大だった。
アセットマネジメントOneの加藤氏は、3年で利率1%超という「キャッチーな案件」に1500億円を超える需要が集まったことを指摘し、今後は長い年限も含めて「もう少し満遍なく調達が広がると発行体として安定する」との見方を示した。
バークシャーは円債の定例発行体で、22年以降は年2回発行している。直近3年間に発行した一部年限のスプレッドは以下の通り:
(第3段落以降にコメントや発行スプレッド比較を追加します。更新前の記事はスプレッド拡大幅を訂正済みです)
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