財源示せず「ポピュリスト政策だ」 ハリス氏政策に批判も
一方、バイデン氏とは違う「色」をどう見せるのかという点では厳しい目も向けられている。16日、ハリス氏は自身の「経済政策」を発表した。演説でも訴えた「中間層の支援」を念頭においた中身だが、これに対する厳しい批判も目立つ。
「食品の不当な値上げを禁止する“連邦法”を制定する」という政策を打ち出したのだが、何が「不当な値上げ」なのか判断する基準は示されていない。元検察官のハリス氏らしく、「違反した企業には罰則を科す」と不正をただすような政策だが、保守系メディアのFOXニュースは「ハリスは共産主義者だ」と手厳しく批判した。
また、各種「税控除」を掲げる一方でその財源は示されておらず、リベラル系メディアのワシントンポストは「ポピュリスト政策だ」と見出しをつけて報じている。
今後も具体的な政策を発表すると新たな批判も出てくるだろう。その時に、いまの勢いに陰りが出てくる可能性も考えられる。
支持率ついに逆転 攻めあぐねるトランプ氏
一方のトランプ氏だが、ハリス氏に対する攻め手を欠いている様子だ。民主党大会が開催されている裏で、ミシガン州やノースカロライナ州といった「激戦州」で演説を行ったが、ハリス氏への口撃も鳴りを潜めている。

ここ最近、「ハリスは共産主義だ」とトランプ氏は繰り返し、「新しいあだ名をつける。カマラ“同志”だ」という発言もしているが、これまで展開してきたバイデン氏への攻撃に比べると、明らかにやりにくそうだ。ハリス氏に対し、人種に絡む攻撃をするのだが、そうした発言には身内であるニッキー・ヘイリー氏から「人種とかの攻撃をしている場合じゃない。戦略を変えないと負けますよ」と苦言を呈される始末だ。

主要な世論調査の平均で、ハリス氏はトランプ氏の支持率をついに抜いた。(ハリス氏48.2%対トランプ氏46.7% リアルクリアポリティックスより)今後、「不倫口止め事件」の量刑の言い渡しを控えているだけに、効果的な攻め手を見出したいところだろう。
次の注目点は、ハリス氏とトランプ氏が直接対峙する9月10日の「大統領候補者テレビ討論会」だ。お互いの攻撃をする格好の場であると同時に、政策論争の舞台ともなる。ハリス氏が支持率で上回ったものの、接戦であることに変わりはない。2か月あまりに迫った投開票日に向け、両者の戦いはますますヒートアップする。