イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザの学校を10日午前に空爆し、パレスチナ人約100人が死亡したとイスラム組織ハマスが明らかにした。今回の攻撃に対して、国際社会からは非難の声が上がっている。

イスラエル国防軍(IDF)は、ガザの学校に潜む「司令センター」で活動するハマスの戦闘員を標的とする空爆だったとテレグラムへの投稿で説明した。住民の避難所になっているモスクに学校は隣接していたという。ハマスは犠牲者数について、民間人と戦闘員を分けて公表していない。

バイデン米大統領に代わり11月の米大統領選の民主党候補となったハリス副大統領は、ハマスのテロリストを追及するイスラエルの権利を肯定しながらも、民間人が犠牲になったとして同国を非難。米西部で選挙遊説中のハリス氏は10日に記者団に対し、「またしても、あまりにも多くの民間人が殺された。人質取引と停戦が必要だ。合意を今、取りまとめる必要がある」と語った。

IDFの報道官は、上級幹部を含む「ハマスとイスラム聖戦のメンバー」約20人がテロ攻撃実行のために施設を利用していたとX(旧ツイッター)に投稿した。

ハマスが示した推定犠牲者数は、「IDFが保有する情報、使用された正確な弾薬、攻撃の正確さ」とは一致しなかったとIDFの報道官は述べた。

米国家安全保障会議(NSC)のサベット報道官は発表文で、米国がイスラエル当局に、今回の攻撃について「さらなる詳細」を求めていると説明した。

欧州と中東の数カ国は、イスラエルによる10日の攻撃と繰り返される校舎への攻撃を非難した。

欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会のボレル副委員長(外交安全保障上級代表)は「ガザの避難所となっている学校からの映像にぞっとした。ここ数週間で少なくとも10校が標的とされたこのような虐殺を正当化することはできない」とXに投稿した。

フランスは空爆を「最も強い言葉で」非難。米国やエジプトとともに新たな停戦交渉を進めようとしているカタールの外務省は、「無防備な市民に対する残忍な犯罪」と呼んだ。トルコはイスラエル政府が「恒久的な停戦のための交渉を妨害するつもり」であることを示していると指摘した。

民間人の危険を軽減するため精密兵器の使用など、さまざまな措置を講じたとIDFは主張するが、ガザ当局によれば、学校に避難していた女性や子供も犠牲になった。

今回の空爆は、これまでのイスラエルとハマスとの戦闘で最も多くの犠牲者を出した攻撃の一つに数えられ、停戦交渉再開に向けた国際的な取り組みを妨げることが予想される。

 

 

原題:Israel Says It Hit Hamas Command in a Gaza School (Correct)、Israel Hit on Gaza School Kills 100 Palestinians, Hamas Says (1)(抜粋)

(ハリス米副大統領やEUのボレル氏らの発言を追加して更新します)

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