経済安全保障分野における重要情報の取り扱いを有資格者のみに認める法案が、あすにも国会で成立する見通しとなりました。我々のプライバシーなどが侵害されるおそれはないのでしょうか。

まもなく参議院の委員会で採決される法案。その仕組みは次のような内容です。

政府は、漏えいすると日本の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを「重要経済安保情報」に指定します。情報にアクセスするには身辺調査を伴う「適性評価」を受ける必要があり、これをクリアした人だけが情報に接することが出来ます。

政府関係者は、法案の成立によって外国政府の入札や説明会に参加できるようになるなど、民間企業のビジネスチャンス拡大に繋がると期待を寄せています。

一方で、懸念される点も。

事前の身辺調査の内容には飲酒の節度や借金があるかなども含まれていて、プライバシーの侵害にならないのかということです。

社民 福島みずほ 参院議員(3月8日)
「本人以外に本人の父母、兄弟、姉妹、配偶者、配偶者の父母、配偶者の連れ子の国籍まで全部調べるんですよ。ここには承諾はありません。これを悪用しないという保証はどこにあるんですか」

岸田総理
「家族について調査することも含めて、あらかじめ告知して同意を得る。そのうえで調査を行うということです。法律で限定された項目を調査するということです」

政府は、あくまで調査は同意を得た上で行うため、人権を侵すことはないとしています。

また、こんな指摘も。

立憲 杉尾秀哉 参院議員(4月17日)
「最大の問題は、本法案で保護される機密の範囲や具体的な対象などの重要事項が、これまた運用基準に委ねられていることです」

何を「重要経済安保情報」にするのか、その範囲が不明確だというものです。

これについて政府は、「重層的なチェックを行い、恣意的な情報指定にならないよう徹底していく」と説明。これまでの議論の過程で、身辺調査などの運用状況について国会への報告を政府に義務づける修正が行われましたが、機密情報指定のルールについてはいまだ明確になっていません。

法案はあすにも成立する見通しです。