中国軍で南シナ海を管轄する南部戦区が、武装した漁船への攻撃を想定した訓練を行いました。南シナ海で領有権を争うフィリピンをけん制する狙いとみられます。

中国国営の中央テレビが公開した動画によりますと、南部戦区の訓練は先月30日、数隻の軍艦が参加し、武装した漁船への攻撃を想定して行われたということです。公開した動画では、海の上に設置した目標物を攻撃する様子などが収録されています。

訓練に参加した隊員
「今日の訓練場は将来の戦場だ。厳しい状況を想定して初めて、戦いに勝つ強い力を身につけることができる」

中国とフィリピンが領有権を争う南シナ海のアユンギン礁では、フィリピン海軍が実効支配の拠点にするため古い軍艦を座礁させ、フィリピン軍の兵士が常駐しています。フィリピン軍は民間船を使い生活物資などを送っていますが、中国海警局の艦船が放水砲などを浴びせ、妨害を続けています。

今回の南部戦区の訓練は、こうした民間船もさらなる攻撃の対象になると示唆することでフィリピン側をけん制する狙いとみられます。

アメリカのニュースサイト「ポリティコ」によりますと、フィリピン軍と日本の海上自衛隊、アメリカ軍は年内に南シナ海で合同パトロールを実施する計画だということで、今後、南シナ海の緊張がさらに高まるおそれがあります。