「ペットは家族」という考えはすっかり定着した感があります。
しかしその数がコントロールできなくなると、飼い主の管理が行き届かないばかりか、悪臭や害虫などで周りの人の迷惑になってトラブルに発展することもあります。
「多頭飼育崩壊」と呼ばれる現場にカメラが入り、劣悪な環境から小さな命と尊厳を守ろうとする動物愛護団体の活動を追いました。
6月の日ざしのもと、雨具を身につけた人たちが下関市の住宅の前に集まりました。
動物愛護団体「アニマルエンシア」のボランティアです。
アニマルエンシアの代表「高齢者の飼い主が飼育崩壊をして猫ちゃんにノミ・ダニが発生して、近隣に被害がある。被害の原因になっている猫ちゃんを保護して…」
ボランティアが家に入ると、玄関から猫の姿が見えました。
その数は20匹とも30匹とも…飼い主にも分からなくなっています。
この家には60代の男性が一人で住んでいましたが、猫が増えすぎて住めなくなったといいます。
許可を得て記者が玄関をくぐると悪臭が鼻をつきます。
散乱する家財道具がふん尿まみれになっていました。
ボランティアが雨具を着ているのは、全身を覆っていないとノミに体中をかまれるからです。
ボランティア「おじちゃん、全頭連れてってもいい?雌だけ残しても飼えないでしょう?」
男性は雌だけ置いていってほしいと要望していました。
しかし、ボランティアの説得ですべての猫が保護されることになりました。
保護されたこの猫は、ぐったりとして動きません。
このあと動物病院に運ばれましたが、輸血が必要なほどノミに血を吸われていたということです。
さらに…
「逃げ回りながら出産しましたね…」
おなかの大きな猫もいて、ボランティアは母猫の保護を優先しました。
母猫が隠れて出産すると、生まれたことに誰も気づかず、子猫が死んでしまうおそれがあります。
母猫は保護されて、子猫と同じケージで診療所に向かいました。
この日、合わせて16匹が保護されました。
飼い主の男性は現在車に寝泊まりしていますが、これから家を片づけて元の暮らしに戻りたいと話しています。
動物にどう接するのか。
それが、人に優しい世の中かどうかの鏡になるのでは…。
動物愛護団体の代表はそう考えています。
動物愛護団体アニマルエンシアの代表「弱いものに対して守るというか、そういうことをしないと…そういう気持ちを若い人が持ってもらえたら、変わるんじゃないかと」
保護された猫はノミやダニを駆除し、避妊・去勢などをした上で家族として迎えてくれる人を探すということです。