秋穂湾を望む絶景と名物のクルマエビ料理で知られる山口市の国民宿舎「秋穂荘」。31日朝、最後の宿泊者を見送り、60年の歴史に幕を下ろしました。

午前6時半、従業員が朝食会場を整えていました。トレーの隅にそっと置かれたのは、小さな折り鶴。「小さな幸福を」と願いを込めた従業員のもてなしは、常連客の楽しみの一つです。

従業員 吉松久美さん
「みんなスタッフで心を込めて折っておりますね。みなさんもう寂しがって、また再開できればいいなってみなさん言われていますね」

1966年に開業した国民宿舎「秋穂荘」は、15室を備え秋穂湾を望む絶景などが評判でした。

運営を手がけるあいおによりますと、開業以来、稼働率はおおむね8割で推移していました。しかし、コロナ禍で経営が厳しくなり、さらに人件費や物価の高騰が重くのしかかり、今年度は月におよそ500万円の赤字が続いたことから、営業休止が決まりました。休止が発表された今月4日以降、別れを惜しむ客から予約が相次ぎ、連日満室となりました。

防府市から
「最後っていうのを見たんで、家族で最後に1泊したらいいかなって思って。思い出の場所ですね」

午前9時半、最後の1組が「秋穂荘」をあとに。従業員は玄関に出て、笑顔で手を振って見送りました。

あいお 上村浩司社長
「食事にしても宴会にしても、記念日でも、やっぱり秋穂荘といわれる。お客さんが喜んでくださるのに次がないっていうのは一番つらいですね」

60年の歴史に幕を下ろした「秋穂荘」。施設を所有する市は、今後について「方向性も含めて何も決まっていない」としています。