山焼きをする理由とは
秋吉台の草原は60年ほど前まで、牛馬の餌やかやぶき屋根の材料を得る場として利用されてきました。今では観光資源としての草原を維持するため、年に1度山焼きが行われています。
日本の草原は国土の1%以下に減っていて、秋吉台は絶滅危惧種のオキナグサやムラサキなど、草原の貴重な植物の生息地にもなっています。
荒木さんは現在滋賀県に住んでいますが、山口市に住んでいた2006年から秋吉台の植物を調べています。
荒木さんの調査によると、去年山焼きが不調だったことにより、ヒメハギやニオイタチツボスミレなどの春の花は、山焼きがあった場合に比べて花の数が明らかに少なく、リンドウなど秋に咲くものも花が少なかったといいます。周囲の草丈が高く、燃え残った草が地面を覆ったことで、日光が届きにくくなった影響とみられます。
荒木さん
「秋吉台の生態系を守る上では、山焼きの作業は大事だと思いました。花について影響がある、しかも花から種になる状況に影響があるのは、その植物の続いていくことにとても深刻な影響があるので」
かつては秋吉台でよく見られた薬草のセンブリ。山焼きの火が入った場所で、実を付けたセンブリを見つけました。
荒木さん
「毎年山焼きがあって地面が出ていることが大事なんですよね。今咲いて次に落ちた種っていうのがちゃんと発芽できるのかがとても心配ですね。昔から皆さんこれを薬にしたりして、地元の方は思い入れのある草なので」
荒木さんは、山口大学や秋吉台科学博物館と山焼きの燃焼温度を調べるなど、今後も調査を続けることにしています。
荒木さん
「地元の方からは大変だという声をたくさん聞くんですけど、それでも大変な中でも誇りを持って続けてらっしゃる。秋吉台の地域の伝統をつなぐとか、歴史を伝えるとか、そういう継承の場になっているんじゃないかと思います。それが生態系を守るということと合わせて地域の文化を守るという二本立てで大事なことかなと思います」
美祢市は例年、2月の第3日曜日に実施してきた山焼きを今年から1週間早めることにしました。天候不良で延期が続いた場合でも、確実に行うための措置でした。
今年は選挙と重なったため11日の予定でしたが、雪の影響で14日に延期されました。
集落の人々が担う山焼き
山焼きを行うのは、秋吉台周辺の集落に住む人たちです。当日の火入れだけでなく、草原と山林の境目の草を刈って防火帯を作る「火道切り」の作業も担っています。
美祢市秋芳町の白井丈雄さん。秋吉台に近い門村集落で生まれ育ち、50年近く山焼きに携わっています。
白井丈雄さん
「あぁ、草原が見えてきましたよ」
毎年11月に、草を刈って幅約10メートルの「火道」を作ります。この集落が担当する距離は800メートルにもなります。
スキー場のゲレンデのような急斜面を、草刈り機をかついで登り、草を刈るのは重労働です。とがった石灰岩が点在していて作業には危険が伴います。
白井さん
「低く刈らないと火が燃え移ったりするから、できるだけ地面に近いように低い位置で刈り取りをする方がいいんですね」
門村集落は現在、21世帯。火道切りと火入れの作業は集落内だけでは人手が足りず、県内に住む親族らを呼び寄せて30人近くが集まります。平均年齢は70歳を超えています。いつまで続けられるか、不安も感じています。
白井さん
「若い人にできるだけ参加してもらって継承していったらというふうには思っとるんですけどね」













