山口県萩市の小学校には書道家で師範の免許を持つ校長先生がいます。

この先生、児童へのメッセージを筆で記して児童が登校する日は8年間、毎日掲示してきました。「心のサプリ」と名付けられたこの掲示。校長先生は、卒業式の日、つまり6年生が登校する最後の日にどんなことばを贈ったのでしょうか。

校長先生のもう一つの顔とは?

児童と教員らがリレーで競っています。全校児童194人、萩市の椿西小学校の休み時間の様子です。校長を務めているのが石田恭二さん。

石田恭二校長

「真剣に焦りました。でもみんなと走って楽しかったです」

走ることが趣味だという石田校長ですが、もうひとつの顔があります。書道家です。師範の免許も持っていて、3年生から6年生の習字の授業を受け持っています。

2月末のこの日は、6年生にとって最後の習字の授業でした。習字の良さは、集中した時間を過ごせるところ。石田校長はそう言います。

石田校長
「音のない静かな世界で字を集中して書くことで、自分と向き合うことができたら一番いいなと思っています」

石田校長による力強いお手本を元に児童たちは、1点1画に気持ちを込めます。

6年生
「1画1画教えてくれて、あんまり字を書くことが得意じゃなかったけど、すごく字を書くことが楽しく思えるようになりました」

「相手を思いやり心豊かに」8年間書き続けたメッセージ

そんな石田校長が続けていることがあります。子どもたちに伝えたいメッセージを筆で書いた「心のサプリ」です。校長になってから8年間、児童が登校する日には毎日、校内に掲示しています。

石田校長
「ネット社会になるので、どっちかというと、SNSになると発信ですよね。自分の思いを発信するんだけど、相手の思いを思いやって受け取るんじゃなくて、例えば感情的にこんなの書きやがってとかそういうことが多いので、だからこそこういうあったかいことばがいると思っています」

日常生活の中で心に響いたことばをノートに書きうつしておきます。その中から、その日の児童の心情に寄り添ったことばを選んで、自分なりに表現しています。

石田校長

「相手の思いをどう感じ取るかっていう力がやはり小学生なので弱いです。だからこそ、このことばを書くことによって、子ども同士が心豊かにつながればっていうことをいつも思っています」

学校を飛び出して広がる「心のサプリ」

この「心のサプリ」は地域にも広がっています。学校の近くにある山本食堂でも、石田校長直筆の「心のサプリ」を印刷したものを掲示しています。

山本食堂
「うちは、おいしいものを食べて元気で帰ってもらうっていうのがコンセプトなるので、心のサプリを見て、心まで豊かになって帰ってもらったらうれしいなって。先生の気持ちがね、伝わってくる」

子どもの心を豊かに。そんな思いで続けられている「心のサプリ」。豊かさは大人にも届いているようです。

山本食堂
「お客様どうしでお話しされてて、すぐぱっと気がつく方とか、いろいろいらっしゃるんだけど、いいねっていうか、そのときの心情に合ってるのだと心にしみていくんじゃないかな」