ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから2月24日で1年です。日本はロシアに対し、経済制裁として自動車の輸出を規制していますが、なぜか中古車の輸出は急増しています。ロシアへの輸出の最大の拠点が富山です。その背景を追いました。

富山県の「富山新港」。大型のクレーンで吊り上げられ、次々と貨物船に中古車が積み込まれています。

中古車の行き先は、ロシアです。

記者:「ロシアに向けて、富山の中古車がいま次々と積み込まれています」

中古車輸出の一大拠点となっているのが富山で、ロシア・ウラジオストクとの間で、定期貨物船も運航されています。

輸出される中古車の中には、ドアがへこんだワンボックスカーも。船上には仕事の合間に一服する外国人の船員の姿も見られます。

ロシア人でしょうか?
ロシアへ中古車を輸出しているのはパキスタン人です。中古車輸出会社のナワブ・アリ・ベーラム社長は。

ベーラム社長:「車が増えた感じで、船もいっぱい入っているし、運ぶ人も忙しい。修理の人も忙しい。税関の人も忙しい、みんな忙しくなっちゃった」

ベーラム社長が経営する射水市の中古車販売店では、30年もの間、ロシアに中古車を輸出してきましたが、ウクライナ侵攻後、輸出の台数が急増したと言います。以前は1か月あたり、50台前後だった輸出が、去年9月には4倍近いおよそ180台に増えました。

ベーラム社長:
「ルーブルが強くなって、日本円が安くなって。(ロシア人にとって中古)車は安い。今買ったら1年2年乗っても、売ると高く売れる可能性が高いです」

特に人気なのが、スポーツ用多目的車・SUVで、売れ筋は200万円から300万円の価格帯だということです。

財務省の貿易統計によりますと、富山県からロシアへの中古車の輸出台数は去年1年間で、10万8000台あまりで前年の1.7倍。輸出金額は394億円から1411億円と、およそ3.6倍に伸びています。

日本からロシアに輸出される中古車のおよそ6割を富山県が占めているのです。

なぜウクライナ侵攻後、中古車の輸出が増えているのでしょうか。