一着の「記憶」にハサミを入れ、現代に蘇らせる「フルオーダーリフォーム」
山口さんが手がける「フルオーダーリフォーム」は、単なるサイズ直しや修理とは異なり、元の服のデザインや生地を最大限に活かしながら、思い出の詰まった一着を全く新しい一着へと仕立て直すサービスである。


1時間ほどかけて客の話を聞き、形やテイストなど「好み」を言葉だけでなく、雑誌や普段着ているお気に入りの服から丁寧に汲み取り、理想のデザインを導き出す。その後、「別の生地で試作品(仮縫い)を作る」という工程を踏み、仕上げていく。
「どうしても捨てられない」そんなクローゼットの奥に眠る大切な服と想いに寄り添い、その人に一番似合う、着心地の良い服に生まれ変わらせる。

アトリエを訪れる人の理由は様々だ。若かりし頃の自分との思い出がある服を持ってくる人、父親の形見や、亡き夫の服を着たいと訪れる人もいる。
明確に「こういう風にしたい」というビジョンがある人もいれば、そうでない人もいる。中でも、「どうしたらいいんだろう」と悩みながら訪れる人が多いという。
アトリエ ドゥドゥ・デ・ファンファン 代表
山口亜耶さん
「話を聞いていると、こんなに皆さん大事にしているものがあるんだなと思う。それは、自分(依頼者)だけが知っていたり、その方と自分とのやりとりの中だけの話でしかない。けど、そういうものって意外と皆さんあるんじゃないかなって」

着られなくなって悔しいという想いや、遺品を「1つくらい残して自分が着ようか」という意外とライトな想いまで、大切にする度合いやベクトルも人それぞれ。それも面白い、と山口さんは語る。

華やかなトレンドを追うスタイリストから一転、なぜ彼女は一人ひとりの「捨てられない想い」と深く向き合う道を選んだのだろうか。後半では、ハサミを入れる瞬間の葛藤と、リフォームがもたらす意外な「安堵感」、そして個展に込めた真意に迫る。
後半に続く(近日公開予定)










