12月8日は一年の仕事を終えた針に、感謝を伝える大正時代から続く伝統行事、「針供養」の日です。嫁ぎ先などに大福餅を贈る富山ならではの風習「針歳暮」を作る店は朝から大忙し。しかし、この店にも、もち米の価格高騰が直撃していました。

針供養とは、自分たちが使った針に一年間の感謝を捧げる行事で、県和服裁縫組合が毎年、旧暦の「事納め」の日、12月8日に行っています。8日は組合員およそ60人が参加しました。

参加者たちは普段、何重にも重ねた硬い布に針を通しているということですが、この日ばかりは、一年の感謝を込めて「もち」に見立てたこんにゃくに一本一本、やさしく針を刺していきます。

その後、曲がったり折れたりした針を供養塔に収め、手を合わせていました。30年間、着物を仕立ててきた女性は――

組合員の女性
「一年の感謝と、(針仕事を)上達するように祈りながら収めさせていただきました。(年々)お仕事も少なくなっているからさみしいですね」

県和服裁縫組合は、110年前の大正時代に設立され毎年、針供養祭を続けてきました。

30年前には300人いた組合員も年々減少し、裁縫職人の数は減り続けています。

富山県和服裁縫組合組合長 油谷富子さん「だんだん若い人がこの道に入ってきてくださらないのは着物離れもありますが、着物の良さをまたPRしていきたい。これの一丸でございます。いらなくなった着物をよみがえる着物と仕立てまして、ワンピースにしたり、コートにしたり、いろいろとアイディアを出し合って、違ったとこに生かされる着物。これからの時代だなと思っています」