富山県内で日本とフランス合作の短編映画の製作がスタートしました。世界の映画祭での上映を目指す短編映画のタイトルは「ゆ」です。

ロケ地の一つが、富山市の「草津鉱泉」。この休業中の銭湯を使って浴室のシーンが撮影されます。

撮影に向けて一人で準備を進めているのは、富山市出身の映画監督、平井敦士さんです。最新作の舞台にふるさと富山の銭湯を選びました。

平井敦士 監督:
「女湯から結構年配の方たちのお話が聞こえてきて、なんか意外とコイバナしてたりとか。知ってる人も知らない人も一緒にお風呂に入って、裸のつきあいっていうこともあって親近感があって」

富山に帰るたびに通う銭湯は平井さんにとって故郷を象徴する大切な場所です。

平井監督が2年前に製作した「フレネルの光」は、地元・富山市の水橋地域を舞台にした作品で、世界15か国22の映画祭にノミネートされるなど、欧米を中心に高い評価を受けました。

この映画にも主人公が地元の銭湯に入るシーンが登場します。

平井敦士 監督:
「みんなここに来て毎日日常を分かち合っているというか、苦しいこととかつらいこととか、うれしいこととか、いろんなそういう人生を共有している場所かなと思って」

平井監督は、10年前からパリを拠点に映画製作に携わっていて、この映画の企画は、フランス国営放送のプレゼン大会に優勝。すでにフランスのテレビでの放映が決まっています。

平井敦士 監督:
「フランス人にとっては、まったく別の不思議な空間の不思議な光景が広がるとは思うんですけど、世界の人から見たときにテーマである大切な場所として共感してもらえたらとは思うので、いろんな映画祭に出してこういう銭湯を見たことない人に見てもらえたらと思います」

映画「ゆ」の撮影は2023年2月で、編集はフランスで行い、夏ごろの公開を予定しています。