ジェネリック医薬品製造大手の日医工が債務超過に陥った余波で地銀にも影響が及んでいます。北陸銀行と富山銀行は、日医工への貸出金などの債権が取り立て不能、または遅延の恐れがあると発表しました。債権額は両行あわせると242億円を超えます。
これは日医工が、事業再生ADRの債権者会議で債権放棄などからなる金融支援を含む事業再生計画案を示したことに伴い、ほくほくフィナンシャルグループと富山銀行が発表したものです。
発表によりますと、ほくほくフィナンシャルグループの日医工への債権は、連結子会社である北陸銀行が貸出金193億円あまり、北銀リースがリース債権100万円であわせて債権193億6400万円が取り立て不能、または遅延のおそれがあるとしています。
また、富山銀行は貸出金49億1000万円とリース債権1700万円のあわせて49億2700万円が取り立て不能、または遅延のおそれがあるとしました。
両行とも債権については必要な引き当てをすでに実施済みであるとして、2023年3月期の通期の業績予想に変更はないとしています。
日医工を巡っては去年3月、主力工場の富山第一工場で医薬品の不正製造が発覚し、富山県から業務停止命令を受けました。
業績悪化に伴ってことし9月末時点で負債が資産を上回る債務超過額が356億円に上り、私的整理のひとつ「事業再生ADR」で経営再建を目指しています。
ほくほくフィナンシャルグループは日医工が16日、事業再生ADRに基づく債権者会議で示した計画案への対応について「詳細はコメントできない」とし、富山銀行は「今後精査する」としています。
日医工は事業再生計画案の成立に向けて債権者の金融機関すべての同意が得られるよう協議を重ね、12月下旬に第3回債権者会議を開く予定です。
記者:
「きのうまで2日連続のストップ安となっていた日医工の株価、きょうも大幅に値を下げました」
東京プライム市場で、16日に2日連続のストップ安となり220円まで下落した日医工株。
東京証券取引所は値幅制限を拡大し下限を1円に設定しました。そして17日、午前9時に市場が開くと同時に売り注文が殺到。午前10時24分、16日の終値よりも154円安い66円で最初の売買が始まると証券会社には株を手放すべきか購入すべきか相談が相次ぎました。
頭川証券富山支店 曽根達博支店長:
「いくらで売ればいいのかなと、そういう問い合わせは朝から結構入ってますし、マネーゲームで買いたいって言う方もいらっしゃいまして、そういう相談なんかもきょうは思ったより入っている状況ですね」
その後、71円まで戻しましたが、17日の終値は16日より162円安の58円まで急落しました。
頭川証券富山支店 曽根達博支店長:
「なかなか午後に入って値段が高値いかないもので、あきらめた方が売ってきたという感じだったと思います。でもやっぱり、ほとんどの方売られたと思いますので、またあしたもなかなか少しだらだらと下がっていくと思いますけど36円くらいに近づくと、またもう一度、マネーゲームみたいなのもはあると思います」