戦前、黒部川のダム建設の工事現場で亡くなったとみられる朝鮮人労働者の墓標が見つかり、85年の命日にあわせて追悼の集いが9日富山県黒部市宇奈月町で行われました。


見つかったのは、戦前相次いだ黒部川の電源開発に関わるダム建設工事の事故で亡くなったとみられる朝鮮人労働者、呂野用(ヨ ヤヨン)さんの墓標で、黒部市宇奈月町の杉林の中にありました。



黒部川の電源開発と、朝鮮人労働者の記録を調査している市民グループが2年前にその存在を知り、現地を特定しました。

9日は市民グループの代表で富山大学で社会言語学が専門の宋有宰(ソン ユジュ)講師をはじめ、元金沢大学教授で近世日朝史が専門の鶴園裕(つるぞの ゆたか)さんなど11人が集まり、祖国を離れ、異国の工業化、電源開発に尽力した先人の苦労をしのびました。

墓標には昭和12年(1937年)10月9日に死亡したことが刻まれていて、市民グループでは当時相次いでいた黒部川のダム建設現場での事故で死亡したとみています。

市民グループは当時のダム建設の労働環境の厳しさや、地元の人々が日本人労働者、朝鮮人労働者ともに敬意を払っていた一端が伺える貴重な史料だとして保存をめざしています。