富山市にある神社の改修費用およそ1800万円が着服された問題で、改修の責任者だった前会長がウソの書類を作って信用させるなど偽装工作をしていたことが自治会関係者の証言で新たにわかりました。私たちはそのウソの書類を入手しました。
公民館に寂しそうに置かれている獅子頭。9月3日、改修が終わった神社の竣工式で披露される獅子舞に使われる予定でした。
地元の小学生がこの稽古場で獅子舞の練習を重ねていたといいます。
近所の人:
「子どもたちが毎日、獅子の練習しとったん。だから申し訳なくて」
富山市婦中町小長沢(こながさわ)にある若宮八幡社。1年以上かけた神社の改修工事が今月終了し、9月3日の竣工式にあわせて引き渡されるはずが、先送りになりました。改修の費用が支払われなかったからです。
地元自治会が作った神社の改修整備委員会の前会長だった60代の男性です。地元の森林を守る会の代表も務めていました。
近所の人:
「どちらかというと優しい人ですよ。昔は富山大学の事務か何かを何年かやってた」
神社の改修整備委員会 岡崎保 会長:
「仕事熱心というか情熱家でもあったし。リーダーシップもあったね」
この前会長が神社の改修のための積立金、およそ1800万円を着服していたのです。
近所の人:
「納得せんちゃ。本人が来て謝ってほしいちゃ。本当の説明をしてほしい」
前会長は自治会の聞き取りに対し「宝くじや競輪、生活費に使った」と答えたといいます。
しかし、3日前を最後に行方がわからなくなりました。
工事関係者:
「なかなか振り込んでないもんやから。どうなっているやらと、早く振り込んでくれと強く言ったら、私の事務所まできてもう10日待ってくれと。8月23日になっても全然、音沙汰がないのでもうこれは変だということで…」
これが前会長が作ったウソの書類です。日付は6月25日となっています。4日後の29日に迫った改修費の1回目の支払いを前に、前会長がこのウソの書類を自治会側に見せて支出の予定について説明したということです。
着服がバレないように偽装工作をしていたとみられます。
神社の改修整備委員会 岡崎保会長:
「ここに支払ったということが資料には書いてありましたから。うのみにしていた、信用してたんですよ。そのぐらい信頼感があったんだといえばそれまでですけど」
若宮八幡社は地域の象徴としてコロナ前の秋祭りは住民でにぎわっていたといいます。神社の竣工式を兼ねて行われるはずだった獅子舞や秋季大祭。
その案内には。
「若宮八幡社拝殿改修整備が、この度完成の運びとなりました。皆さま方におかれましては、こぞって参加されます様、ここにご案内申し上げます」
案内の差出人は、あの前会長でした。
神社の改修整備委員会 岡崎保会長:
「これ犯罪でありますから、一番本人が糾弾されるのは当然のことながら会計監査のほうのチェックが不十分だったと。その他私も含めてチェック機能が働いていなかったと」
自治会は被害届を出すことを決定。近く警察に提出する予定です。