元陸上自衛官の五ノ井里奈さんに対し、わいせつな行為をした罪に問われている元同僚の被告3人の裁判で、福島地裁は12日、3人に懲役2年、執行猶予4年(求刑は懲役2年)の有罪判決を言い渡しました。

判決を受けたのは、元陸上自衛官の被告A(31)、被告B(29)、被告C(29)の3人です。

福島地裁に向かう被告ら

判決によりますと、被告3人はおととし8月、北海道の演習場で元自衛官の五ノ井里奈さんに対し、下半身を接触させるわいせつな行為をしました。

これまでの裁判で、検察は、被告3人が五ノ井さんをベッドに押し倒して覆い被り、腰を前後に振って下半身を接触させ、これらが性行為を思わせるわいせつな行為にあたるなどと指摘していました。

一方、被告の3人は 「腰を振ったが、笑いを取るためだった」(被告A) 、「腰を振るような動きはしていない」(被告B)、 「覆いかぶさるようになったが、下半身は接触していない」(被告C) など、性行為を思わせるわいせつ行為はなかったと無罪を主張していて、「強制わいせつ」と認められる行為があったかどうかが争点となっていました。

12日午後1時半から開かれた判決公判で、福島地裁の三浦隆昭裁判長は、全員が「下半身を接触させた」などと、起訴内容を認定しました。また、五ノ井さんが母親や女性隊員に対して送った、性的被害にあったというメッセージなど、公判中の供述と申告は一貫していて「被害者の供述は信頼性がある」としました。さらに、下半身が接触していたという目撃者の証言には「信用性があり、被害者の証言を補強するもの」である一方、被告3人の供述は「全体的に不合理で不自然」と指摘しました。

一方で、3人は懲戒免職となるなど社会的制裁を受けているとして、それぞれ懲役2年執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。

判決後、被告の弁護人は控訴について、判決内容を精査すると話しました。

【五ノ井里奈さんへの強制わいせつ事件 これまでの裁判記事】
「腰を振る動きは笑いを取るため」謝罪から一転、被告3人が無罪主張【初公判詳報】
下半身は「離れているように見えた」元上司が証言 五ノ井さんは法廷で倒れる【第2回公判詳報】
「着衣越しに陰部接触」「キャバクラのようだった」元同僚の自衛官証言【第3回公判詳報】
「陰部の接触はなく、性的意図は一切ない」「腰は一度も振っていない」被告2人が主張【第4回公判詳報】
陰部の接触「絶対にない」被告が改めて無罪主張 五ノ井さん「許そうと思ったのは間違い」【第5回公判詳報】
元隊員3人に懲役2年求刑 被告は全員無罪主張 五ノ井さん「厳しく正しい判決を」【五ノ井里奈さん性被害事件・第6回公判】