漁業者からは「風評被害」懸念の声も

24日朝、福島県いわき市の沼ノ内漁港では、ヒラメなどいわゆる「常磐もの」と呼ばれる魚介類が並び、いつもと同じようにセリが行われました。

震災後、福島県の沿岸では原発事故の影響で一時、漁が自粛され、現在の漁獲量は震災前の2割ほどにとどまっています。

そうした復興途中での処理水放出。漁業関係者からは、新たな風評被害を懸念する声が聞かれました。

仲買人「今後一番懸念していることは風評被害なんですよ。常にデータなどをガラス張りにして発信していく、もうそれしか方法がないですよね。これからなんですよね。」

いわき市の四倉漁港でも…。

漁師・三浦孝一さん「処理水、処理水と言ったって常日頃の生業だから粛々とやるしかない。基本的には流してもらっては困るが、やるしかない決まったことだから。政治家の人たちが理解を得られたと言っているが、どこで理解を得られたのか我々漁業者にはわからない」

新たな風評への懸念は消えていません。

全漁連「反対はいささかも変わらない」

処理水の海洋放出を受け、全漁連の坂本雅信会長は「我々がALPS処理水の海洋放出に反対であることはいささかも変わりはない。今、この瞬間を目の当たりにし、全国の漁業者の不安な思いは増している。国にはモニタリングの実施を通じた安全性の確保など『漁業者に寄り添い、必要な対策を取り続けることを今後数十年にわたろうとも全責任を持って対応する』との岸田総理の約束を確実に履行し、漁業者をしっかり支えていただきたい」とのコメントを出しました。

一方、福島県の内堀知事は、東電に対し「万全な対策を徹底的に講じるよう」求め、国に対しては「最後まで全責任を全うしてください」とコメントしています。