20日に福島第一原発を視察した岸田総理は、21日午後に全漁連の会長と面会して、処理水の海洋放出について理解を求めました。政府は22日、関係閣僚会議を開いて放出の時期について判断する方針です。
岸田総理は21日午後、全漁連の坂本会長らと会い、処理水の海洋放出への理解を求めました。
岸田総理「ALPS処理水にかかる予算措置等について、例え今後数十年の長期にわたろうとも政府全体として責任を持って対応させていただく」
坂本会長は海洋放出に関して、科学的な安全性は一定程度分かってきたとした一方で、反対の意見をいささかも変えることはないと述べました。
全漁連・坂本会長「『科学的な安全』と『社会的な安心』は異なるものである。科学的に安全だからと言って風評被害がなくなるわけではないと思う」
政府はこれまで「『関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない』という約束を順守するとしてきましたが、面会後の会見で坂本会長は、関係者の理解は100%ではないと話します。」
Q.放出が決まれば約束は反故ということか
全漁連・坂本会長「(約束は)破られてはいない。しかし果たされてもいないという状況」
岸田総理は20日、福島第一原発の処理水関連設備を視察し、東京電力に風評被害があった場合の賠償などについて対応を求めました。
政府は、21日の全漁連の面会を踏まえ、22日に関係閣僚会議を開き、放出時期を正式に決める方針です。政府は、県内で底引き網漁が解禁となる9月を避けて、8月中に放出を始める方向で調整を進めています。
政府の動きに対して内堀知事は、21日の定例会見で、県として2年数か月、あわせて47回にわたって、県民、漁業者の声を政府に伝えてきたと強調しました。その上で…。
内堀知事「(漁業者は)現時点において、また子どもたちの世代においても本当に漁業を継続していくことができるのかという痛切な思いを幾度も訴えている。政府として責任を持って判断し、対応していくことが重要だと思う」
また、あらためて漁業者との信頼関係が重要だとしたうえで、福島だけでなく全国の問題としてどうしていくか政府が責任を持って対応してほしいと話しました。