処理水の海洋放出について、福島県内の漁業に携わる人たちからは「現場の声をもっと聞いてほしい」「約束を破らないでほしい」といった声があがっています。

志賀金三郎さん「不安なのは本当に9月1日から(漁に)出て、市民が安心して食べてくれるかだよ」

漁を始めて半世紀、志賀金三郎さんです。9月1日からの底曳きの漁に向けて船の整備を進めています。

志賀さん「総理が(第一原発を)見て回ったかもしれないが、そればかりではなく、現場の人の声をもう少し聞いてみてもいいのではないか」

漁業者の理解は深まっていないと話す志賀さん。県内ではすでに処理水による風評被害も始まっていると話します。

志賀さん「(福島県の)相馬の方からも、今までのナマコなども風評で3分の1の値段だと。本当に強行でしょ何でも。現場の人たちは本当に1日から(漁に)出るのに一生懸命準備をしています」

一方、四倉港を拠点とする三浦孝一さん。

三浦さん「(総理が)視察に来る時期が遅かった。今までこんなに問題を抱える中で…」

「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」とする漁業者との約束についても、破らないでほしいと話します。

三浦さん「漁業者の理解なしには放出はしないとみんな全国民が分かっているはずなんだ。弱者を救済するならいいが、弱者をいじめるみたいな形で遂行していることに私は遺憾だと思っています」

▼処理水 福島の葛藤
処理水の海洋放出に向け、準備が大詰めを迎えていますが、関係者の理解や風評への懸念など、課題は残ったままです。TUFでは、処理水をめぐる課題や現状をシリーズでお伝えしています。