「ヘルメットを買おうかな」応えなかった父親の後悔

渡邉明弘さん「もしもっと早く議論を進めて、ヘルメット着用義務化に漕ぎつけたら大地は死ななかったんじゃないかな」

愛媛県松山市・渡邉明弘さん

愛媛県松山市に住む渡邉明弘さんは、2014年、当時高校1年生の長男・大地さんを交通事故で亡くしました。

長男・大地さん(享年15)

自転車通学をしていた大地さんは、学校からの帰宅途中、横断歩道を渡っていたところ、トラックにはねられました。その時、大地さんはヘルメットをかぶっていませんでした。

事故現場(2014年)

渡邉明弘さん「大地は高校に上がって自転車を購入するときに『ヘルメットを買おうかな』と言っていた。あの時に『欲しいんだったら買おうか』と言ってあげてたら今どうなっていたんだろうとどうしても考えてしまう」

「もう誰にも自分のような後悔をしてほしくない」
事故後、渡邉さんは愛媛県内の学校でヘルメットの大切さを訴える講演活動を続けてきました。

渡邉さんの講演会(愛媛県・2019年)

そこで渡邉さんが問いかけるのは、「ヘルメットの価格が6000円というのは高いのか」ということです。

渡邉明弘さん「6000円ぐらいのことをケチって自分の命がもし無くなったとしたら、じゃああなたの命は6000円より安かったんですかと。そういう想像をして、ヘルメットをかぶるモチベーションにしてもらいたい」

事故の翌年、愛媛県の県立高校では通学時のヘルメット着用が義務化となりました。いまでも多くの生徒がヘルメットをかぶっています。

渡邉明弘さん「福島県の方でもヘルメットを着用していたら、もしかしたら守れた命がたくさんあると思う。事故にあったけど(ヘルメットの着用で)大事に至らなかった。良かったという風な形になるように、今皆さんに考えてもらいたい」

渡邉さんは、子どもたちがヘルメットをかぶるには大人が率先してヘルメットをかぶり、見本を見せることが大切だと話していました。

「今後義務化になったらかぶればいい」という声もありますが、本当にそれで遅くはないのか、自転車に乗る方はこの機会にヘルメットの着用をぜひ考えてみてください。

自転車事故で亡くなった渡邉大地さん