海洋放出決定 漁業関係者の不信感

菅元総理「風評対策を徹底することを前提に海洋放出が現実的と判断し基本方針をとりまとめました」

政府は、おととし、処理水の処分方法として海への放出を決定。
そして今年1月、放出時期については、この春から夏ごろという方針が示されました。

計画では、処理水を国の基準値の40分の1となる1リットルあたり1500ベクレル未満に薄め、海底トンネルを通じて沖合1キロに流す予定です。

東京電力は、去年8月から海底トンネルの掘削作業に着手。
現在、800メートルの地点まで掘り進めていて、春ごろの開通を目指しています。

しかし、処理水の海洋放出に、福島県内の漁業者は強く反発しています。

相馬双葉漁協 今野智光組合長「風評被害は必ず出ると思って覚悟している。廃炉まで処理水を流しているから福島だけが取り残される」

相馬双葉漁協の今野智光組合長は、反対する理由の一つに東京電力への“不信感”があると話します。

今野組合長「汚染水を垂れ流していたのを隠していたあの時、我々はコウナゴの試験操業が始まったばかりだった。それがニュースになり中断した」

2013年、福島第一原発では、海側の地下水から高濃度の放射性物質が検出され、一日300トンの汚染水が海に漏れ出ていることが発覚。

その後も、タンクの堰から雨水があふれるなどのトラブルが続きました。

今野組合長「過去の積み重ねだと思う。不信感は」

さらに、首都圏の消費者からは・・・。

神奈川県民「あー太平洋の方に流すっていう。ニュースで少し見たくらい」「あ、見てるんや、俺は知らん」
東京都民 娘「アルプス処理水って知ってる?」母「原子力発電所の処理水・・を海に放出するんですか?なんのために?」

処理水について、十分な理解が得られているかは、不透明なままです。

奥秋キャスター「理解をしてもらうために東京電力が行っていることは?」
東京電力 福島第一廃炉推進カンパニー・小野明プレジデント「科学的根拠に基づいた正確な情報をきちんと発信しながら、地元の方のみならず国内外の方々にアルプス処理水についてよく知ってもらう。その安全性についてご理解を深めていただくことが非常に大事だと思っている」

この春から夏ごろにかけ、海への放出が示された処理水。

政府が示した時期は、もうすぐそこに迫っています。