福島県を代表する観光エリア、猪苗代町・磐梯町・北塩原村からなる磐梯エリア。緑がもえるように輝くこの季節に、「新しい体験と素晴らしい出会い」をご紹介します。
築150年の古民家で味わう、元ホテルシェフの洋食
磐梯町、慧日寺跡の参道を歩いていると現れるのが「徳一の里 庄九郎亭」。石垣を横目に足を進めると、立派なお屋敷が姿を現します。

建物は今年でちょうど150年。このあたりの元寺地区内で最も歴史ある住宅であることが分かり、建築当時の姿を復元したそうです。その古民家を舞台に、なんと洋食レストランが誕生しました。
腕を振るうのは、元ホテルシェフの遠藤さん。磐梯町産の食材を多く使ったメニューの中でも、看板料理の一つがトンテキです。醤油やウスターソースを使用したオリジナルのタレで仕上げ、さらに肉厚ジューシーなトンテキの上にビッグな海老フライをオン。これが「庄九郎亭のトンテキと海老フライセット」です。

トンテキは肉厚なのにもかかわらず、歯でさっと噛み切れるほどの柔らかさ。たっぷりタルタルがのった海老フライもサクサクプリプリ。歴史あるノスタルジックな空間で味わう洋食というギャップが、また格別です。
暗いうちからカヌーに乗るー朝だから見える、桧原湖の顔
「条件が揃ったら湖面が鏡のように静まり返って、真っ赤に空が染まる—そういったことも見れますので」

地域おこし協力隊でもある中村さんがそう語るのは、桧原湖で体験できる早朝カヌーのこと。カナディアンカヌーに特化した体験プログラムで、その最大の特徴は「静寂性を最も味わえる早朝の時間帯にメインで行う」という点です。

取材当日は朝晩の寒暖差が激しく、湖面には濃霧が発生。真っ赤な太陽こそ見られませんでしたが、幻想的な霧の中を漕ぎ進む体験は、それはそれで忘れられない景色だったようです。
さらに中村さんが提供するのは、秋元湖でのドローン撮影付きSUP体験も。サップを楽しんでいる様子を上空からドローンで撮影してくれるというプランで、「秋元湖は上から見るとすごくきれいで、こういう地形があるのはほんとここならでは」と中村さん。その絶景を知ってもらいたいという思いから生まれたサービスだそうです。

朝食前の朝活にカヌー、日中はSAPPでドローン撮影と磐梯エリアのアクティビティは、かなり充実しています。
地区住民が手作りで守る神社と、800年の縁結び
磐梯エリアには、観光マップにはなかなか載らない「隠れたパワースポット」が点在しています。
磐梯町の上西連地区にある諏訪神社もその一つ。1295年に創建されたこの神社は、1588年に火災で社殿が焼失。しかし「神社をなくすわけにはいかない」と再建に立ち上がったのが、当時の村人たちでした。昔も今も変わらず、地区住民の手によって守られています。

鳥居に掛けられたしめ縄も、なんと毎年住民が手作りしているもの。20年以上制作に携わっているという区長の鈴木さんでさえ「形が何を表しているかはちょっと分からない」と言うほど、独自の進化を遂げています。

一方、猪苗代町の磐椅神社は、創建が1500年以上前と言われる古社。もともとは磐梯山の頂に鎮座していたというから驚きです。

この神社を荒廃から救い、再建に尽力したのが18代続く神職家系の伊藤さん一家。中でも注目は、正則さんが水道工事の経験を活かして塩化ビニールパイプで自力制作したという手作りの鳥居。およそ1か月で作り上げたそのお社は、「私の一生に一度の宝物」と正則さんは語ります。

さらにこの神社には、樹齢800年以上の杉の木に山桜が寄生した「縁結び桜」があります。杉と桜が縁を結んだとして、今では縁結びのご利益があると多くの参拝者が訪れているそう。オリジナルの御朱印に、手作りのお守りまで——ここにしかない体験が待っています。

1日5食限定の「タカジロウ」と、刑事ドラマ体験のある食堂
磐梯エリアには、料理だけでなく「店主のキャラクター」も含めて楽しめる食堂が存在します。
北塩原村のタカ食堂は、メンチソースカツ丼やチャーシューエッグ丼の「タカ丼」など、多種多様なメニューが揃う人気店。この1年で特に力を注いで開発したというのが、1日5食限定のラーメンです。

その名も「タカジロウ」——二郎系インスパイアとして自ら語るこの一杯は、大量のキャベツが乗り(通常の二郎系はもやしが多め)、濃厚な豚骨醤油スープともちもち食感の中太麺が特徴。さらに渾身のもう一杯「タカブラック」は、真っ黒に染まったスープが目を引きます。

郡山ブラックをインスパイアながら、しっかりとした味わいが特徴で、おすすめの食べ方は生卵に麺をつけるすき焼き風。締めにはスープと卵をご飯にかけて——「この北塩原村で作っているお米を使いたい」というたかさんのこだわりが光ります。
猪苗代の中ノ沢温泉街にある小西食堂では、また違った個性が炸裂しています。

毎朝5時から丸鶏や青煮干しで仕込むスープの「スタミナラーメン」(鶏の唐揚げのせ)が看板ですが、もう一つ見逃せないのが刑事ドラマ体験サービス。

3代目の和隆さんが刑事役を務め、旅館の一室で取り調べを再現。最後に「カツ丼でも食うか」という名セリフとともに、煮込みカツ丼が登場するという、なんとも唯一無二の体験です。犯人役と刑事役、どちらをやるか選べるというのもポイント。

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猪苗代湖の北に磐梯山がそびえ、雄大な自然と、そこに暮らす人々が生み出す文化が交差する磐梯エリア。古民家で洋食を食べ、夜明け前に湖へ漕ぎ出し、手作りの鳥居に手を合わせ、個性的な食堂で腹を満たす——そんな旅が、今この季節に待っています。
緑が燃える美しいこの時期、ぜひ足を運んでみてください。













