「棄民政策」住民の訴え
その3日後、今野さんたちは再び上京し、中央省庁や国会議員のもとを訪れて、方針の見直しを訴えました。要請書では「区域から個人へ」という方針について、「個人の自己責任に転嫁し、国自ら責任をないがしろにするのは、棄民政策というしかない」と強く批判し、住民の声を聞くよう求めています。

今野さん「私たち地域住民にとってはちょっと納得できない内容なので、そこをぜひ地域住民に配慮した政策で進めてほしいと…」
要請の後、今野さんたちは国会内で記者会見を行いました。
三瓶春江さん「ここで私が嫁いでから、ずっと暮らしていた家族のお城でもありま
すので。そういうところが無残にも、原発事故がなかったらこんな解体はなかったし…」
メンバーの1人、三瓶春江さんは、今年1月に住宅を解体した際の映像を流しながら、帰還困難区域となった津島の現状を説明しました。

三瓶春江さん「こういった解体は、私だけではなくて、特定復興再生拠点区域はほ
とんどこういうふうに無残にも解体されていますので、その思いをみなさんに、自分の家がもしこういうふうに壊されたらという思いで見ていただければと思って…」
こうした現状を伝えた上で、国会議員も同席する場で、今野さんは訴えました。
今野さん「先ほど、三瓶春江さんが自宅の解体の話をしました。本日私も含めて5人の地元住民が来ております。そのうち、4人が、私はまだ自宅が残っていますけど、私以外の4人が、すでに、自宅をすべて解体しています。本来、春江さんがおっしゃったように、家族にとってはお城なんですよね。その家を解体せざるを得ないという過酷な環境にある。そこを誰しもが入れるような形にしていいという、そ
ういうものでは決してありません。国は、私たち地域住民がふるさとに帰りたいという気持ちを逆手にとって、除染義務を放棄しているというふうにしか受け取れないんですね」













