福島県内で長く愛される老舗の今を伝える「老舗物語」。今回は須賀川市でどら焼きが人気の菓子店です。「どら焼きの味は絶対に変えない」100年続く老舗の味を守る4代目店主の姿です。
ふっくらと焼き上げた皮に。自家製のあんこと特製マーガリンをたっぷりと挟んだ看板商品のどら焼き。
--庄司喜一社長(庄司菓子店4代目)「味だけです、私が守っているのは。どら焼きの味だけは絶対に変えていませんから。」
須賀川市の『庄司菓子店』。
店の味を守り続けるのは4代目店主の庄司喜一さん。現在は家族や従業員と共に店を切り盛りしています。
どら焼きが看板商品の店ですが、実は、そのスタートはいまとは異なるものでした。
--庄司社長「まずはせんべい屋ですね、せんべい屋から始まっていますから。」
いまからおよそ100年前の大正10年。初代・寅吉さんがせんべい店として店を開きました。そして2代目で父の一さんが、どら焼き店で修業をした後に、店でどら焼きの販売を始めたといいます。
では、店の看板商品『あんマーガリンどら焼き』はどのように生まれたのでしょうか。
--庄司社長「私が子どもの頃から食っていた、バターつけて食っていたんですけど。ある日、お客さんが来て「これ食べてみ」つったらば、こんなうまいものあるのかいといわれたのが始まり。」
父・一さんは、「商品にはしない」とあんこ一筋を貫いていましたが、「売ってほしい」というお客さんの要望に押され、販売を始めたということです。
そして高校卒業後、仙台にある洋菓子店で修業し、店に戻った庄司さん。いまでは、洋菓子テイストの生クリームを挟んだ『生どら』のほか、イチゴや抹茶、マスカルポーネチーズなど様々などら焼きを販売しています。
その人気ぶりはというと・・・
庄司菓子店のどら焼きを販売する郡山市の帝京安積高校では、休み時間になると購買には次々と生徒が。
思い思いの場所でどら焼きを食べる生徒たち。日によっては、完売してしまう日もあるといいます。
--生徒「めっちゃおいしいです!」
--スタッフ「どんな所がおいしいですか?」
--生徒「このあんこと、生地のバランスがちょうどよくて、しっかりかみ合っています。」
--生徒「午後の授業もはかどるし、勉強も運動もこれで頑張ろうと思います。」
--生徒「やっぱ、福島県だけじゃなくて全国に広まってほしい、そんなどら焼きだと思っています。」
老舗の味と技術を代々継承してきた庄司菓子店。実はある「名物商品」があるんです。それは・・・超特大のどら焼きです。
挟むあんこの量はなんと1.6キロ。特製のマーガリンもたっぷりと塗り、そして・・・一気に被せ完成です。
通常のどら焼きと比べるとその差は歴然。皿に乗せてもそのほとんどがはみ出る規格外のサイズで、直径を測ってみるとなんと驚きの30センチオーバー。これ1つでどら焼き33個分に相当するということです。
--庄司社長「普通の人やると、みんな落っことすんですよ。もろにそこにどたっと落っことすから、持った瞬間に。」
まさに職人技。しかし、どうしてこんなに大きなどら焼きを作り始めたのでしょうか。
--庄司社長「「バレンタインデーのお返しものに、でっかいどら焼きねえかって言われたの。それが一番始まりなんだけど。」
サイズは、直径15センチから36センチまであり、誕生日やブライダルなどで注文が入るといいます。
県内外から客が訪れる庄司菓子店。その焼き場では、姪の友紀さんが5代目を目指し修業をしていました。
--姪・友紀さん(5代目)「小さい頃から(店に)携わってきたので、将来的には何かの形で携わりたいなと思っていました。それが、自分が5代目と決まったときに、改めて頑張っていこうという決意がでましたね。」
伝統の味を受け継ぐ庄司菓子店。庄司さんはこれからも、老舗の味を未来につないでいきます。
--庄司社長「地域に愛される店として、長くやっていきたいと思います。200年も続けばいいかなと思っていますけど。」
『ステップ』
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2025年9月11日放送回より)