“絶対的な存在”長年のトップ・江尻氏とは
一連の不正の中心にいたとされる江尻次郎氏は、2004年から22年まで理事長を務め、さらに2年間会長に就き、20年間にわたりトップの座に君臨した。本多理事長は、江尻氏について、自分も中途で採用されたサラリーマンであり、恩義を感じ、役割を認めてくれた「絶対的な存在」で、逆らえない面があったと述べた。
そのうえで5年前、専務理事になった当時、自分も融資の最終決済を行う立場だったことを明かし、「(不正を)止めるのがあるべき姿だった。そういう行動が如何にも足りなかった。正常な融資決済のなかに不正が紛れ込んでいたことがままあった。特別な考えを持ちながらやっていたかと言えば、必ずもそういうことはなかったと強く後悔している」と、不正融資の審査がずさんで常態化していたことを示した。そして以前、不正を指摘する職員がいたこともあったが、是正されることはなく、指摘した職員は左遷されたこともあると明らかにした。
また、江尻前会長については去年11月1日、本多理事長が江尻氏に直接、電話で説明し辞任を求めた当時、「わかった」と話し、素直に応じたと振り返った。そして不祥事発覚については「新しい『いわしん』をつくるための大きな節目になった」と表現した。
しかし、第三者委から、調査について調査妨害とすらとられる非協力的な姿勢と指摘されたことについて、本多理事長は「調査の初動に十分リーダーシップを発揮できなかったことを強く反省している」、「調査当初は組合の旧体質、悪い風土が折に触れて出てしまっていた」と述べた。そのうえで「潮目が変わったのは3月からでさまざまな証拠書類、証言が出てきた」「今までと違って隠ぺい体質が氷解してきた。5月は随分変質しつつある」と表現し、和らいだ表情になり、「まるで自然現象のような表現に聞こえる」と報道陣から苦言を呈される場面もあった。