始まりは南津島出身の学生の思い
プロジェクトが本格的に始まったのは、3年前。南津島の出身の学生、今野実永(みのぶ)さんの強い思いで始まりました。

時には裏方に徹し、陰に日向に、ふるさとと学生をつなぐために、奔走した4年間でした。
今野実永さん「最初の学校だけからの練習から始まって、保存会との交流が始ま
って、今度は学生だけで踊る機会をもらったり、保存会と同じ舞台に立って踊る。それから津島という特別な場所で、学生たちと保存会と踊ることができる。すごい色濃い4年間でありつつも、彼らが社会に旅立っていくと思うと、同級生としてとても寂しく思うところもあります。保存会の人たちもそうなんですけど、今回、一番私自身が同級生たちに支えられてここまで来たので、彼らの最後、晴れ舞台とい
う場所なので、彼らがいい思い出になった、関わってよかったと言ってもらえるような、そういう舞台にできたらと思う」
今回の舞台は、古民家風の宿泊施設で行われました。ステージ上ではなく、家々を回ったかつての姿を再現したいという学生たちの思いです。

保存会の会員たちが見つめる中、最後の踊りが始まりました。
およそ20分間。学生たちは、このメンバーで踊る最後の踊りをやり遂げました。
学生とふるさとをつないだ実永さん。
思いが、あふれました。
保存会のメンバー「よくがんばったね。ありがとう。ね」

これから、それぞれの道を進む学生たち。一人ひとりが、感謝の言葉を述べます。
笛を担当した兼子千潤さん「師匠、お世話になりました。『一番弟子』と呼んでいただき、とても、とてもうれしかったです。ありがとうございました」
踊りの途中、転倒するトラブルがあった伹野さん。福島県内への就職が決まっていますが、その理由は…。
伹野さん「きょうこけた分を取り返すために、保存会に入らせていただいて、今後とも鍬頭も含め、南津島の伝統の継承活動等々をやっていきたいと思っていますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします」

実永さんも、精一杯、感謝の気持ちを伝えました。
今野実永さん「(保存会の)専次郎さんをはじめとする皆様のおかげで、私自身、津島の、永遠のふるさとの芸能に触れ合えることができて、本当に…本当に楽しかったです。こうやって大事な仲間たちを保存会の会員として、後継者の一員として認めていただいたことに本当に本当に感謝しております」