福島県浪江町の帰還困難区域、南津島地区で継承されてきた田植踊り。原発事故により存続が危ぶまれてきましたが、地元の保存会の活動に仙台市の大学生が加わり、継承を続けてきました。この春で、多くの学生が卒業を迎えることとなり、師匠たちに感謝を伝える最後の公演が行われました。地域の宝とも言える伝統芸能を伝えた保存会と、それに向き合ってきた学生。それぞれの思いがあふれた2日間を追いました。
2月15日、福島県須賀川市に、南津島郷土芸術保存会の会員と、仙台市の東北学院大学の学生が集まりました。
南津島郷土芸術保存会・三瓶専次郎会長「きついか?」
学生「大丈夫です」

着付けの様子を記録する学生も。このメンバーで集まるのは、この日が最後です。
2年あまりにわたって活動をともにしてきた、学生と保存会。師匠と弟子のように、南津島の田植踊りをつなぎ、芸を磨いてきました。
去年10月には、ふるさと津島での公演も行い、音頭をとる鍬頭の役を学生の伹野就斗さんが務めました。

伹野さんをはじめ、4年生となった学生たち。卒業を前に、自分たちの踊りを披露し、感謝を伝えます。
伹野さん「緊張していますね。一番最後なので。いままで一緒にやってきた仲間なので、自分が結構練習をしたいという“練習ガチ勢”というか、踊りたいということに付き合ってくれた仲間への感謝と、保存会のみなさまにも。外部の人間、よそ者の人間が地域の宝である民俗芸能に参加させていただいたという、まずそこへの感謝と、そこからものすごく熱心に指導を受けてきたことへの感謝の踊りをしたいとは思います。一番最後なので、一番いいものをやりたいという気持ちでやらせてもらいます」