記録誌は“原発事故で奪われたものの一覧表”
今野邦彦さん「くじけそうになったんです。何度も。ふふふふ」
副区長だった今野邦彦さん(65)。義人さんとともに、記録誌の制作委員を務めました。
今野邦彦さん「4回写真撮りに行ったんです。一つの家。4回。最低でもね」
住民が寄稿したページには、必ず家の写真が4枚、納められています。その多くは、邦彦さんたちが、撮影したものです。

今野邦彦さん「やっぱり、住んでいた人たちは四季を味わっていたので、夏だけの写真とか、冬だけの写真じゃなくて、うん、みなさん、自分の家で四季を楽しんでいたから…」
ふるさとで感じていた四季を…。掲載された写真の1つ1つに、そうした思いが込められています。また、記録誌には、活発だった地域の活動や住民どうしの交流も詳細に収録されています。
今野邦彦さん「100年後かどうかわかりませんけど、赤宇木を再生しようと思った時に、ひとつの『元資料』って言いますかね」

邦彦さんの自宅は、おととし、解体されました。記録誌のページが膨大な量になったのには、理由があると言います。
今野邦彦さん「結局、奪われたもの。原発事故によって奪われたもの。破綻した国策で奪われたものを書き連ねたらこうなっちゃったっていうのがあります。だからまだまだ足りないんです、本当は。だから、奪われたものの一覧表でもあります」