東日本大震災から14年目に入った今でも、福島県内には避難指示が解除されない地域が残っています。政府は、避難区域を再編する方針を示す一方で、住民は全面的な除染を訴え続けています。

3月11日の仙台高裁前。浪江町津島地区の住民たちが集まりました。

原告・佐々木茂さん「私たちは長年住み慣れたふるさとから、放射能という目に見えない毒によって追われてしまいました」

佐々木茂さん

大部分が帰還困難区域となっている津島地区。住民およそ630人が、ふるさとの原状回復を求め、国と東京電力を訴えています。先頭に立って、行進する今野秀則さん(76)。原告団長を務める一方で、いま、大きな悩みに直面しています。

今野秀則さん「4月1日が期限。最終期限」

今野さんの自宅は、特定復興再生拠点の中にあり、去年3月に避難指示が解除されました。その自宅を公費で解体するための申請期限が、4月1日までとなっているのです。期限まで3週間。敷地内には、明治時代から続く旅館も含まれています。

今野秀則さん「自分が生まれ育った家だし、震災後もずっと私6人きょうだいだけど、春の彼岸、秋の彼岸、きょうだいは墓参りに来て、古い家にみんな集まっていた。それを考えると、なかなかね、簡単に壊すって言えるのかというと、なかなか言えない」