洪水に関する情報も大きく変わる

それから、氾濫=いわゆる洪水に関する情報ですが、これも大きく変わります。現在、洪水に関する情報は、法律で定められた大規模な①「洪水予報河川」(宮城県では阿武隈川下流や広瀬川など11の区域)と②「水位周知河川」(宮城県では砂押川や梅田川など37河川)を対象に、氾濫注意情報、氾濫警戒情報、氾濫危険情報、氾濫発生情報といった「洪水予報」を河川管理者の国や県などが各河川ごとに発表しています。これは実測(あるいは予測)された水位をもとに出されるものです。また、③それよりも小規模な河川は、気象庁が解析した流域の雨量などをもとに市町村単位で洪水注意報や洪水警報を発表していますが、洪水の特別警報はありません。

それが今回の見直しでは、①「洪水予報河川」では「レベル2氾濫注意報/レベル3氾濫警報/レベル4氾濫危険警報/レベル5氾濫特別警報」といった名称になり、洪水に関する特別警報が新たに設けられました。②「水位周知河川」では現行通り氾濫注意情報、氾濫警戒情報などといった水位情報が出される一方、その河川のある市町村では「大雨注意報」や「大雨警報」などの情報も同時に出すことになりました。③それよりも小規模な河川は、雨量などをもとに「大雨注意報」や「大雨警報」などを出すことになりました。このため現行の洪水注意報や洪水警報という名称はなくなります。

近年にない大規模な刷新…半年間で周知徹底を

こうした今回の見直しは1988年に注意報が現行の16種類の名称になって以来
(警報は1953年から現行の7種類)、初めてと言っていいレベルの大規模な刷新で、歴史的な転換点とも言えます。佐藤准教授は、先日初めて発表された「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が当初はなかなか認知度が上がらなかったことを例にあげ、「この情報は命を守るために必要だということを踏まえると、多くの方が知らないというのは避けたい」「あの手この手で様々な方法でみなさんに周知・学習してもらう必要がある」と話しています。

気象に関する情報は近年、線状降水帯に関するものなど次々に新しい情報が増えています。この記事をご覧になって「また増えるのか…」といった印象を抱く方も少なくないと思います。しかし、この新たな防災気象情報は、気象庁と専門家や報道機関がつくる検討会が2年以上に渡り様々な意見を出し合いながら検討を続けてきたもので、現行の複雑な枠組みからはだいぶ分かりやすくなったものと思われます。tbcではNEWS DIGをはじめ今後も解説の機会を設け、2026年5月下旬の運用開始までにぜひ多くの方に理解を深めてもらいたいと思っています。