■不安定な仕入れを解決する最新技術

布施商店 布施太一社長:
「(今年も)年末まではマダラは少ない状況。遠くから運べば運ぶほど、鮮度は落ちてくる。そういう意味では、なるべく近い場所から魚を仕入れたいという思いがある」

地元からの安定的な仕入れが不透明感を増す中、布施商店は、最新の冷凍技術を活用し、マダイやスズキなど加工品の原料を、計画的にストックし始めました。

必要な魚の水揚げがない時に備え、鮮度が良いものをすぐに処理して凍結させ、在庫として常に保管しておくのです。取引先のニーズに応じて出荷する、「安定供給」のための取り組みです。

布施商店 布施太一社長:
「例えば(取引先の)ホテルの困りごとは一定期間、同じメニューを作り続けることに対し、鮮魚は水揚げがあったり、なかったり、安定して供給するのはすごく難しい。安定した品質で安定した価格で一定期間同じ商品を提供できるのは、冷凍の強み」

1912年、大正元年に創業した布施商店は、震災で建物が全壊しました。半年後、事業を再開しましたが、販路の多くを失い、売り上げは、震災前の4分の1程度。

老舗企業はいま、付加価値の高い商品の開発に力を入れ、活路を見出そうとしています。

布施商店 布施太一社長:
「我々の強みは何かというと、水揚げされたその日に加工ができるということ。石巻で変化している魚、こういったものにうまく対応していく企業を作りたいし、うまく(商品に)付加価値をつけられる会社にしていきたいと思っている」

被災地の水産加工会社は、水揚げされる魚の量や時期の変化に柔軟に対応しながら、震災復興の歩みを進めています。