■「もっと私たちは好きに生きていい」解き放たれた心
まず上映された劇映画の「春をかさねて」は、そのみさんの実体験がもとになっています。

震災で妹を亡くした主人公の14歳の少女は、葛藤を抱えながらも日々押し寄せる記者たちの取材に応えていました。そんな中、同じく妹を亡くした幼なじみが、ボランティアの大学生へ恋心を抱く姿に嫌悪感を感じてしまいます。

佐藤そのみさん:
「家族や身の回りの人を亡くしたから、その分も生きていかなければいけないとか、前を向いて生きていかなければいけないとか、私たちは思いがちだったけど、けれどそこにとらわれず、生きていけるのなら、それぞれのやりたいようにやっていい。そういうことを描きたかった」

続くドキュメンタリー映画「あなたの瞳に話せたら」は、そのみさんら大川で家族や友人を亡くした当時の子どもたちが、何を感じどう生きてきたのかを故人に宛てた手紙の朗読を通じ描きました。

映画を見た人:
「本当にきょう見られてよかったです。残るものを残してくれたというのが、すごくいろいろな思いで作ったと思うが、そういうのが伝わってきた」

「よく一生懸命やったなと思って感動しました。私も前向いていかなくちゃと改めて思いました」
震災後、自分と同じように葛藤や心の傷を抱え、落ち着かない時間を過ごしてきた大川の人たちに映画を通し「自分だけじゃなかった」と安心してほしかった…。そのみさん自身も、ほっとしたような表情を浮かべていました。

佐藤そのみさん:
「大川の皆さんと見る自分の作品はよかったなと思えた。この場所で見られるべくして作ることのできた作品だったのかなと、きょうを終えて思えたので、本当によかった」

好きなように生きていい。今、それぞれの道を歩き始めています。