宮城の郷土料理「はらこ飯」ですが、サケの漁獲量が減少しているため、提供する店は値上げするなど対応に苦慮しています。

サケの身とイクラがたっぷりのった郷土料理「はらこ飯」。

宮城県亘理町のこの店では、この時期一番の人気メニューで平日は200食から300食提供されます。20日にも県内外から訪れた客が味わっていました。

客:
「珍しいのでこの時期めがけて、関東にはない組み合わせなので」
「海の宝石箱。見た目もそうですし、ご飯もおいしいという一言に尽きる」

村上晴香アナウンサー:
「いただきます。ふっくらとしたサケの身、いくらもたまりません。秋の味覚はらこ飯ですが、今ピンチを迎えています」

店が頭を悩ませているのが、サケの不漁による原材料の高騰です。

和風レストラン田園を運営 武進・菅野武貴社長:
「(サケの漁獲量は)ここ5~6年減っている状態で2025年もたぶん昨対比の46%とか。雄鮭が7~8年前と比べたら3倍近い値段。いくらも5倍くらいに。販売価格も上げないといけない状態」

店はシーズンが始まった9月1日から2024年より100円値上げして提供。10月17日からは、さらに260円の値上げに踏み切りました。
また、提供期間も2025年は11月6日までとこれまでで最も短くなる予定です。

なぜ、サケの不漁が続いているのでしょうか。

県水産業基盤整備課 松崎圭佑技術主査:
「海水温の上昇や海洋環境が変わっていることが要因としてあげられるのでは」

県によりますと、県内のサケの漁獲数は減少傾向となっていて、2024年度は過去最低の3205匹となり、最も多かった2008年度の0.1%程度となりました。

2025年は、去年の同じ時期に比べるとやや多いものの、今後も、以前のような漁獲数は見通せないと話します。

県水産業基盤整備課 松崎圭佑技術主査:
「稚魚を放流して、その稚魚が4年後に親になって戻ってくる。最近、放流する数も減っている。来年すぐに海洋環境が良くなっても回復するかというとなかなか難しい」

和風レストラン田園を運営 武進・菅野武貴社長:
「ここ数年は、三陸も全然獲れない状態なので、今はほぼ北海道が主流。この時期になったら、岩手が最盛期だけど全然あがらない」

原材料の高騰で苦しい状況が続きますが、菅野さんは「なんとしても郷土料理の味を守り続けたい」と話します。

和風レストラン田園を運営 武進・菅野武貴社長:
「この時期にサケが遡上して新米がとれてという、『はらこ飯』は物語性が強い郷土料理なので、できるだけこれからも続けていきたい」