津波で1階が浸水
成仁杜の里仙台 皆川広美施設長:
「こんな感じで、部屋だとベッドの上の高さまで(津波の)跡が残っていた」

実はこの施設、仙台東部道路を挟んですぐ近くにあった元の建物が震災の津波で被災し1階が浸水しました。海岸から3キロ離れていましたが、職員のとっさの判断で1階にいた50人近い入居者を2階に避難させたことで津波の犠牲者は1人も出ませんでした。しかし、被災した施設で入居者の健康を維持していくのは想像以上に大変だったと言います。

成仁杜の里仙台 皆川広美施設長:
「普段夜間帯はある程度決められた人数で職員を配置していたが、3か月間は職員がその3倍くらいの人数で待機した」

震災後、内陸側に再建した後も、被災を経験した職員を中心に災害を意識した施設づくりに取り組んできました。津波を想定し、1階には入居スペースを設けず、事務所も2階に置いています。
成仁杜の里仙台 皆川広美施設長:
「(避難者が)安心して休める場所がある。いろいろな相談ができる環境を整えてあげたい。恩返しではないが助けてもらって移転したので、今度は福祉避難所を開設した場合には地域の人に災害の時に役に立てる施設づくりを目指している」

1人でも多くの命を守るため、災害を免れた後の避難先にも震災の教訓が生かされています。災害の際は行政による支援=公助だけでは全ての命を守れない可能性もあり、福祉避難所のような民間の力も大切となっています。
成仁杜の里仙台は、福祉避難所の中でも「指定福祉避難所」になっています。仙台市ではこれまで、支援が必要な人も基本的にはまず地域で指定された一般の避難所に行き、そこから必要に応じて福祉避難所に移動することになっていました。しかし、今年度から運用が始まった指定福祉避難所では、施設の利用者などがあらかじめ登録しておくことで一般の避難所を経由せずに直接福祉避難所に避難することができるようになりました。仙台市は今後、この指定福祉避難所の指定を拡充していく方針です。