農林水産省は政府の備蓄米を21万トン放出すると発表しました。宮城県内では、期待の一方、価格の低下にはつながらないのではないかという懸念の声も聞かれました。
中村洋輝記者:
「ササニシキが3350円、ひとめぼれが3730円で売られています。売り切れとなっている棚もあります」

仙台市太白区にある「米工房いわい」。宮城県産ササニシキは、5キロ3350円。ひとめぼれは、5キロ3730円と1年前に比べ、ともに1000円程度値上がりしています。さらに、新米が入荷した後も品薄傾向が続いているといいます。
買い物客:
「今まで(5キロ)2000円ぐらいで買っているので3000円超えると買う気が失せちゃう」
「前の値段になってくれると安心どんどん(値段が)上がりそうで心配」
仙台市青葉区のカツ丼店では、県産のつや姫を使っています。ご飯の「大盛り」は無料ですが…。

村上晴香アナウンサー:
「この店では、カツ丼や定食に欠かせないお米の価格高騰に頭を悩ませています」
代表の松浦洋平さんは2024年9月からコメの値上がりが続いていると話します。
かつどんのかつどん家 松浦洋平代表:
「この1袋がご飯炊くひと釜分なんですけど、全部で1週間分の量。3月でいうと8割増し180パーセント単価が上がっているので、そのまま仕入れ値も倍近くになっている。1キロあたりの単価は、お米とお肉と変わらないくらいの金額になってしまう。ご飯の大盛り無料で、お客様にお腹いっぱい食べていただけるようにというのが売りでもあった。別料金をいただくとか考えざるを得ない」

こうした中、農水省は14日、備蓄米全体の2割にあたる21万トンを放出すると発表しました。
江藤拓農林水産大臣:
「流通が滞っているこの状況をなんとしても、改善したいという強い決意の数字だ」
流通の円滑化を目的に備蓄米を放出するのは初めてで、まず15万トンを放出し、その後は市場の状況などを見ながら追加する考えです。小売店からは、価格の安定化を期待する声が聞かれました。
米工房いわい 岩井宏太会長:
「値段が下がることを一番期待したい。放出して値段が下がればいいが私たちでは見当がつかない未知の世界です」

一方、カツ丼店の松浦さんは、品質の良いブランド米などは、価格の高止まりが続くのではないかと話します。
かつどんのかつどん家 松浦洋平代表:
「ニュース、報道が流れたところでもう一度お米屋さんの話は聞いてたんですが、やはり僕が期待していたような市場の動きにはならない、高いままなんじゃないかと言われている。お米の品質がやはり重要なので、うちが取らさせていただいているお米のクラスに関しては、ほとんど変わらないと思うと言われてました。要望とすると(価格が)下がってくれると非常にありがたいのは間違いない」
早ければ、3月下旬にもスーパーなどの店頭に備蓄米が並ぶということですが、しばらくの間は、食卓にとっても飲食店にとっても厳しい状況が続きそうです。