2022年9月に予定されている静岡県の熱海市長選挙に、熱海市議の泉明寺みずほさんが7月19日、出馬を表明しました。土石流災害の責任問題と被災地の復興という大きな課題を抱える熱海市。この難局を乗り切る舵取り役は誰が担うのか?注目が集まっています。

<熱海市長選に出馬表明 泉明寺みずほ市議>
「いまこそ市長の交代が必要であると強く訴えたいと思います」

熱海市長選挙への出馬を表明したのは、泉明寺みずほさん51歳です。函南町出身で、熱海市の今宮神社の宮司を務める泉明寺さんは、2015年の市議会議員選挙で初当選し、現在2期目。熱海市議会副議長などを務めています。泉明寺さんは出馬の理由の一つに現市長への批判を挙げました。

<泉明寺みずほ市議>
「現市長が就任してから起きた『事件』によって27人の尊い命が失われた。市として、市長として、この責任を回避することは絶対にできないと思う」

2021年7月に発生し、甚大な被害を及ぼした土石流災害をめぐり、熱海市には被災地の復興という課題が残ります。また、土石流災害を甚大化させたと指摘されている違法な盛り土について「熱海市は不適切な盛り土の造成を許し、危険性を認識していたのに放置していた」などとして、遺族や被災者から損害賠償を求められています。

土石流災害をめぐる対応が山積する熱海市。次の市長に難しい舵取りが求められるのは明らかです。

<泉明寺みずほ市議>
「私は責任を取るために市長になります。自分が今まで長らく過ごしてきた伊豆山のコミュニティに戻れないかもしれない。戻ってもこの先不安が募るばかり。ひとりひとりの考えを聞かなければいけないと思っている」

熱海市長選挙は9月4日に告示、9月11日に投開票の予定で、4期目の現職・斉藤栄市長は現在出馬への態度は明らかにしていません。

泉明寺さんが批判した現在の市長・斉藤栄さんはどんな方なんでしょうか。1963年東京都生まれの59歳。国土交通省の官僚や国会議員秘書を経て2006年に熱海市長に初当選。4期16年にわたり熱海市政を担ってきました。主な功績としては、財政難にあえいでいた熱海市で財政危機宣言を掲げ、下水道事業などで抱えた不良債権を41億円から21億円まで減らしたり、低迷していた観光客の数もシティープロモーションを積極的に行い、観光地熱海を復活させた点が挙げられます。

一方で、2021年7月に発生した土石流災害の対応をめぐっては、遺族や同じ熱海市議などから、このような批判が挙がっています。違法な盛り土の造成と放置した責任、盛り土問題の対応の遅さ、土石流災害当日の住民避難をめぐる対応など。

出馬表明した泉明寺さん経歴です。大学生の娘を持つ1児の母、泉明寺さん。小学生から大学4年までガールスカウトでリーダーとして活躍した経験から、座右の銘に「そなえよ つねに」といった言葉を挙げ、9月に実施される市長選への準備を進めています。