2023年2月、岡本さんはずっと知りたかった“最期の思い”に映画の中で突然、出会います。2022年12月に公開された映画『ラーゲリより愛を込めて』。ラーゲリ=収容所でのあまりにも残酷な日々に誰もが絶望する状況で生きる事への希望を捨てず、日本への帰国と家族との再会を夢見続けた実在した人物の物語です。
<岡本忠さん(79)>
「父親と照らし合わせて映画を見た。ああやって、埋葬したんだ。帰ってくる時にはみんな仲間のことを伝えてくんだな」

岡本さんが訪れたのは「平和祈念展示資料館」。シベリア抑留に関する記録や体験者の証言に基づいて、再現された展示が並びます。防寒具なのに半そでというコートがありました。
<岡本忠さん(79)>
「半袖か…」
<学芸員>
「お腹が空きすぎて、ソ連の現地の労働者が持っていたパンと(コートの袖を)交換してしまったという体験」
<岡本忠さん(79)>
「それだけお腹が空いていたんだよな。やっぱし人間、空腹には敵わなかった」