静岡県伊東市の田久保真紀前市長の学歴詐称問題で、偽造されたとされる卒業証書を預かり続けた代理人弁護士について、住民訴訟を起こしている市民グループが8月19日、証拠隠滅罪の疑いで刑事告発し、合わせて所属する弁護士会に懲戒請求も行いました。

刑事告発されたのは、伊東市の田久保真紀前市長の代理人弁護士です。

告発状によりますと、代理人弁護士は前市長に対する有印私文書偽造・同行使や地方自治法違反の事件で有利な判決を得させるため、卒業証書とされる文書が重要な証拠にあたると認識していたにもかかわらず、捜査機関からの提出要請に対して「押収拒絶権」を理由に提出を拒み、弁護士事務所の金庫で保管し続けたなどと指摘しています。

そのうえで卒業証書とされる文書を預かり続けた行為が、証拠を隠滅しようとした証拠隠滅罪に該当するとして、東京地方検察庁に対して8月19日付で刑事告発しました。

また代理人弁護士が所属する東京弁護士会に対して、卒業証書とされる文書を保管し、提出を拒み続けたことが弁護士職務基本規程の「違法行為の助長」や「信義誠実義務」などに違反するとして、懲戒を求める請求を8月19日付で提出しました。

懲戒請求書では、代理人弁護士が管理しているとするSNSアカウントで、弁護士として品位を欠く表現の投稿をしているなどとも指摘し、懲戒を求めています。

刑事告発と懲戒請求について、市民グループの代表は「代理人弁護士は、公人であった田久保前市長の説明責任を回避するアドバイスをし、市民の知る権利を奪った。依頼人の利益が優先されることは理解できますが、公人である伊東市長の職にありながら、私を公人の責務より優先させることが、果たして社会正義を維持するための弁護士として依頼人にアドバイスをすることが許されるのか、大いに疑問に思っています」などとコメントしています。

一方、代理人弁護士は自身のSNSで、「例の「『卒業証書』」は、まだ私の事務所の金庫内で眠っています」とし、証拠隠滅罪については、「卒業証書は第三者による証拠隠滅を防ぐために預かった。預かった以上は、依頼人の秘密を死守するのが弁護士としての当然の役割。卒業証書が偽造されたものという明確な事実はなく、他人の刑事事件についての証拠を隠滅する意図もない。客観的にも主観的にも証拠隠滅罪の構成要件に該当しません」などと主張しています。

市民グループはこれまでに、前市長の市議会解散は合理的理由がなく選挙費用の損害を生じさせたとして、前市長に約5000万円の損害賠償を請求するよう伊東市に求める住民訴訟を7月30日付で静岡地方裁判所に起こしています。