参院選の大敗から50日、突然の辞任劇でした。石破茂総理は9月7日、「党内に分断を生みたくない」として退陣を表明しました。9月8日に行われる予定だった総裁選前倒しの署名提出は急遽中止が決まり、静岡県内選出の国会議員からは安堵の声も聞かれました。
<石破茂総理>
「私は自由民主党総裁の職を辞することといたしました。米国関税措置に関する交渉に一つの区切りがついた今こそが、しかるべき(辞任の)タイミングである」
石破総理は9月7日夜、会見を開き任期途中での退陣を表明。理由について9月8日に予定されていた“総裁選前倒し”の意思確認が行われれば、「党内に決定的な分断を生みかねない」と説明しました。
突然の辞任表明となりましたが、自民党県連の井林辰憲会長は「まずは台風被害の支援が必要だ」と冷静に受け止めました。
<自民党県連 井林辰憲会長>
「(突風による)被災した直後ですから、政治が滞らないようにしっかりやってもらいたいというその思いだけです。滞りなく政治が支援していく、これがまず一番です」
自民党県連は9月6日、総意として、総裁選の前倒しを求めることを決めたばかりでした。
<自民党県連 鈴木澄美幹事長>
「全体の雰囲気が石破さんに対して厳しい風が吹いているということもご本人が一番よく感じていたのではないかと感じています。組織が分裂するようなところまでいってしまうのはどうかなというのは非常に懸念していたところでありますので、少し安堵している」
JNNのまとめでは、24の都道府県連が総裁選前倒しに賛成することを決定し過半数に達していました。個人としても賛成の署名を提出する予定だった議員は9月8日朝、署名中止の連絡を受けたといいます。
<自民党 深沢陽一議員>
「私たちが意思表示をしなければいけないということが回避できたという意味では、ギリギリのタイミングでしたけど良かったなと思っています。(総裁選は)国民の皆さんが物価高に苦しんでいるというところでどういう政策を打ち出すかという政策でしっかりと判断していきたいと思っています」
<自民党 勝俣孝明議員>
「県連としても意思表示をしたわけですから、その部分で分断がなかったかといえば、私は多少はそういった部分はあったと考えています。過半数を満たない状況の中での国会運営には非常に多くの課題が残っていると考えています」
<自民党 若林洋平議員>
「そもそも『石破おろし』って何ぞやと。そういうつもりで一切やってないわけです。変わるか変われないかも本当に瀬戸際、それも自民党だと思いますので、そこはしっかりと胸に刻んでほしい」
石破内閣で唯一閣僚の城内実経済安保担当大臣は「残された任期で職責を果たしていきたい」と話します。
<自民党 城内実経済安保担当大臣>
「政治空白を作ることなくしっかりと政務三役が職責を果たすことが重要であり、総裁選についても幅広く党員の意見を踏まえて総裁選をしっかり行うことが大事」
一方、野党は「党内事情が国政に大きなダメージを与える」と批判します。
<立憲民主党県連 源馬謙太郎代表>
「自民党は党内政局ばかりをやって、大事なガソリン暫定税率の議論の話も進まないし、政治とカネの問題も進まない、これはまさに国内政治の停滞を自民党内の政局で生んだのではないかなと、非常に罪深いと思います」
参院選で躍進した国民民主党の榛葉賀津也幹事長もこのタイミングでの辞職を非難します。
<国民民主党 榛葉賀津也幹事長>
「ご自身が辞めさせたかったら署名をして党本部に持って来いとそこまで言ったんですから、その自分のやると言ったことに対して結果も見ずに、結局白旗をあげる」
そのうえで、新総裁の姿勢によっては連立政権に参加する可能性を指摘しました。
<榛葉幹事長>
「我々の求めている、取りすぎている税金を国民に返していく、30年ぶりに来たこのチャンスをしっかり国民に渡していくと、そういうことをやりきるとおっしゃる総理総裁であれば、十分いろいろな議論の可能性はあると思います」
政治学に詳しい法政大学の白鳥浩教授は、今回の総裁選には3つのハードルがあると分析します。
<法政大学大学院 白鳥浩教授>
「まず総裁を選ぶ、第2段階として首班指名選挙で勝つ、第3段階として国民の信を問う衆院選を勝ち抜く、この3つのハードルというのがあるだろうと考える」
さらに、少数与党として多党との連携を考えたうえで総裁を選ぶ必要があると訴えます。
<白鳥教授>
「誰であればよその政党と協力ができるのか、そしてその協力ができる政党とはどの政党なのかということを念頭に置きながら今回の投票をもらっていく」
総裁選の日程は9月22日告示、10月4日投開票で最終調整されています。自民党の再生に向けたポスト石破は誰になるのでしょうか。