竜巻は伝統産業にも大きな影響を及ぼしています。静岡県西部で受け継がれている遠州織物。静岡県牧之原市の織元では、生地を織る際の要となる織機に甚大な被害が出ています。

<浜松総局 伊豆川洋輔記者>
「創業70年を超える遠州織物の織元ですが、屋根を覆っていた瓦が飛んでしまい、織機は濡れている状態で、布にも土砂がかぶっています」

創業77年・遠州織物の織元・榛地織物です。榛地織物では染色した糸から厚みや柄の異なるさまざまな生地を生産し、作務衣や甚平などを販売しています。国内外で高く評価される素材をつくるために欠かせないのが織機です。今回の竜巻で大きな被害を受けました。

<榛地織物 榛地研一さん>
「水が...。ぬれてしまっているし、屋根の間に入っている土が落ちてきて、上に積もっていたほこりも落ちてきてしまって」

竜巻の影響で、築50年の工場の瓦が飛ばされ、雨漏りが発生。13機ある織機のうち、10機ほどが雨と土をかぶりました。

<榛地さん>
「海外のお客さんにも輸出をするものがあるので、なんて説明をすればいいのか、正直悩んでいます。来週、(デザイナー)のアポイントもあり、連絡をして日を延ばしてほしいと説明をしたんですけど」

織機は使い始めてから40年が経っているものもあり、修理ができるかどうか分からないといいます。

<榛地さん>
「大事に扱ってきている織機なのでちゃんと動くかどうか心配ですけど、基盤や電気系統があるんで...。心が折れそうですね」

災害発生から2日後の9月7日。被害を聞きつけた友人や親族らが集まりました。

<榛地さん>
「屋根の上とか危ないからいいよって言っていたんですけど。商売をやっている人が多いので、工場が止まることが困るっていうのが分かっているので来てくれた」

その気持ちを尋ねると、「本当にありがたいですよ。本当に、泣きそうですよ」と話しました。

今後の雨に備え、屋根にブルーシートを被せたものの、9月7日は停電の影響もあり、肝心の織機には手をつけられないままでした。

<榛地さん>
「最近のデザイナーさんは、ストーリー性を大事にするので、歴史のある建物で伝統的な織物をしていることが一つのアイデンティティになっている。復旧できるのかどうか。まだそこまで考えられない状況です」

世界で輝く静岡の伝統産業にも影を落とした今回の竜巻。復活への道のりは険しいものとなりそうです。