玄米を加工販売 覆した米農家の概念
農を軸にした収入源を探る中で、「体にいい」のに普及していない玄米に着目。子どもも大人も手軽に食べられる方法を考えた。会社経営者の妻と協力し、冷凍のおむすび「玄米deむすび」の開発と販売を企画。米農家や加工場にアプローチを繰り返し、玄米の仕入れから加工、販売の道筋を築いた。
商社マンとして、国内アパレルメーカーの製品の生産ルートや販路を開拓するために世界中を飛び回った経験が生きた。2022年に会社を辞めた。
田んぼに富士山の湧水を引く小山町では、米の収穫後に「水かけ菜」と呼ばれる特産の葉もの野菜を植え、初春に収穫する二毛作が盛んだ。水かけ菜の根や葉などの残さを田んぼにすき込んで育てた米は、玄米の状態でも柔らかく甘みがある。

2023年に町内の米農家湯山直文さんと出会い、湯山さんの田んぼの玄米を使った「玄米deむすび」を道の駅で売り始めた。町のふるさと納税の返礼品にも採用された。何より「玄米がこんなに美味しいなんて」と、湯山さん自身が驚いたという。

「代々の米農家に根強い、白米にこそ価値があるという概念を覆したようだ。玄米の美味しさを湯山さん自身に知ってもらえてよかった」