6月に長野県の上田駅で起きた回送列車の脱線事故について、しなの鉄道は2日、「木製のマクラギの老朽化」が原因と明らかにしました。

しなの鉄道は2日の夕方、脱線事故の原因を公表しました。

■土屋智則(つちやとものり)社長
「木マクラギ老朽化による軌間拡大が原因と推定される」

6月12日の午前、しなの鉄道上田駅構内の踏切で、4両編成の回送列車が脱線。

現場は上田駅のホームから100メートルほど離れた、本線と車庫をつなぐ電留線(でんりゅうせん)と呼ばれる線路です。

列車は車庫に引き揚げる途中で、乗客はおらず、乗員にけがはありませんでした。

しなの鉄道によりますと、緩いカーブに設置された木製のマクラギの内部が腐食。

その結果、釘で固定されたレールが列車の荷重で外側にずれ、レールの間隔が広がったことで脱線したということです。

事故の後、車体のつり上げ作業など撤去に時間がかかり、運転を再開したのは3日後。

その間、田中駅と戸倉駅の間で運休し、バスによる代替輸送が行われるなど、2万3千人余りに影響が出ました。

木製のマクラギの老朽化を原因とする脱線事故。

再発防止策は…

■土屋智則社長
「木マクラギ使用箇所の軌道構造の強化、コンクリート製への交換を実施していく」

しなの鉄道は、2024年度末までに曲線部分の木製マクラギは全てを、直線部分でも3本に1本をコンクリート製に取り換えるとしています。

交換の対象はおよそ6000本で、費用は2億円程度かかると見込んでいます。

しなの鉄道は、2022年度まで3期連続の赤字で、再発防止策の実施に行政の支援を求めていく考えを示しました。