
■樋田和彦さん
「当時は1年間ですよ、睡眠が1日2時間の日が1年ぐらい続いたんですよ。それを栄養ドリンクで持たしていくんですけど2000円ぐらいの精力剤を毎日3本飲んですごいやれるんでこれでいいやってやってたらあるところから毛がポロポロ抜けるようになりまして」
ペン入れは、1ページを仕上げるのに丸1日かかります。
苦しさが9割と断言する過酷な仕事ですが、辞めたいとは思いませんでした。

■樋田和彦さん
「学生の時からスポーツでも勉強でも中途半端だったんですよ。何やってもこれっていう自分に自信がもてるところがなかったんですよね。夢にまで見たまさかなれないと思った漫画家でしたのでもうその時は死んでもいいと思ってたんですよ」
命を削って生み出す若者たちのストーリー。
京四郎たちが闊歩する舞台の中心は地元、上田です。
6巻の表紙を飾るのは、商店街の裏通りで100年以上続く映画館、「上田映劇」です。
■樋田和彦さん
「やんちゃなことをするには街中の裏通りでごちゃごちゃしているところがふさわしいじゃないですか。そういう方たちも結構多くおられますので高校の時、上田最高って本当に思ってましたんで遊んでて飽きなかったですよね。やんちゃな先輩たちに色々よくしてもらったりとか、たまには怖い目にあうんですけど本当に楽しかったです」
青春時代の体験も元に描いてきた「京四郎」ですが、連載開始から5年でこれ以上はかけないと、いったん筆をおくことにしました。
その後、何度も次の作品に挑戦しようとしましたが、思うようにいかず7年間もがき続けます。
貯金が尽き、漫画を諦めたのは39歳の時でした。
■樋田和彦さん
「まさか一番失いたくないものを手放さなきゃいけないので、天を仰ぐような感じはありましたね」
その後、地元に戻り、工場で生産管理の仕事に就きました。
しかし、夢をあきらめたことや、新たな生活がすれ違いをうみ、40代の半ばで離婚。
挫折を経験し、ぽっかりと空いた時間に描き始めたのは、漫画でした。
そして23年ぶりの連載が決まり、工場を辞めて、再び厳しい世界に戻ってきました。
