窪島さんはこの話をもとに、2年の月日をかけて、絵本を完成させました。


絵本の中で、中国の戦線にいた作蔵お爺ちゃんはある日、画家を目指す中国人の青年 張(チャン)さんの家を訪ねます。

『少し絵の具を分けてくれませんか』
『持ってきた絵の具を使い果たしてしまったのです』
(「ゆうやけこやけのえのぐばこ」より)

「絵を描くこと」が好きという共通点を持つ2人。絵の具を分け合い、夕焼け空の絵を描きながら友情を深めていきます。


窪島誠一郎館主:「夕方になると落ち合って絵具を分け合いながら。石家荘は夕焼けがとてもきれいなところ。そこで絵を描く、2人を仲良くさせる、これが一番の日中友好の種になるなってそういう気持ちが湧いてきた」

そして、「夕焼け小焼け」が故郷を思う歌であることを知った張さんは、作蔵お爺ちゃんと共に歌うのです。

『張さんは中国語で作蔵おじいちゃんは日本語でー』
『いつか二人の声は大きな合唱になっていました』
(「ゆうやけこやけのえのぐばこ」より)

窪島誠一郎館主:「歌を歌いたい人が自由に歌を歌い。絵を描きたい人も、自分が自分でありたいという人が、自由な自分であれるように、そういう時代が続いてほしい。ここに国境はない、それを言いたかった」


日本中国文化交流協会の常任理事を務める窪島さんは6月、中国を訪問し、鉄揚さんに絵本を届けました。


窪島誠一郎館主:「(鉄揚さんが)この本をペラペラめくってね、最後にポンと置いて夕焼け小焼けを歌い始めたんですよ。一堂シーンとした中で声が響いて日本語で完璧に一章歌い上げた。最後は合唱になりました。先生が歌い終わったあと今度は参加者全員で歌った。相手が何人であろうと関係なく伝わっていくもの、同じ芸術を志していれば人間の絆は深まるものだともう」